2014-08-07(Thu) 10:30:00
引っ越しが終わり、荷物を整理する。
満さんが住むマンションは、3LDKという間取りだった。 1つが書斎、1つが寝室、1つが荷物部屋で、 俺はそこを借りることになった。 ベッドやタンスは、前のマンションに置いてきた。 満さんのマンションに合うものを、 これから少しずつ揃えようと思っている。 それなりにバイト代をずっと貯めてきているから、 ここで使わないと損してしまう。 ラフな姿の満さんが、片付けを手伝ってくれる。 ふう、なんて息を吐きながら、額の汗を拭う姿に、 どきっとした俺は思わず顔を赤くした。 今更なのに、見慣れているのに。 こういう何気ない仕草に、いつも惚れ直してしまう。 「どうしましたか、舞斗君?」 「あ、いえ、せっかくの休みを潰してすみません」 「いいんですよ。気にしないで下さい」 いつもの笑顔に安心してしまう。 この安心感がこれから毎日、たっぷりと味わえるんだ。 なんか、幸せすぎて嬉しいかも。 昼食は、満さんがペペロンチーノを作ってくれた。 やっぱり美味しくて、おかわりしてしまった。 満さんも動いたせいか、珍しくおかわりをして食べた。 そして、まだ昼間なのに、満さんとビールを飲んだ。 汗を掻いたあとはアルコールが体に沁みる。 体からの関係に始まって、恋人にまで発展し、 ルームシェアにまで至るなんて思ってもみなかった。 恋人として一緒にいても、そこから先はないと考えていた。 だから、俺はとても恵まれている。 パスタを食べ終えてから、カレンダーに予定を記入しよう。 リビングのカレンダーには、満さんのスケジュールが書いてある。 そこに、大学の予定や、バイトに行く日も書いてほしいと、 満さんからさっき言われたのだった。 どうしてか、と訊ねたら頭にキスをされた。 つまりは、夜、そういうことをするために、 カレンダーで確認したいらしい。 頬を赤らめながらキスされた頭を触っていると、 くすりと笑われてしまった。 「舞斗君、これから宜しくお願いしますね」 「こちらこそお願いします」 飲みかけのビール缶を、かつんと軽くぶつけて、 今日からの新生活を、ささやかに祝った。 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |