2015-04-08(Wed) 04:36:03
「乗って下さい」
「いや、いいですいいです」 「ここからお姫様抱っこされるのと、おんぶと、 どちらがいいですか?」 どっちも遠慮したいけど、満さんの目はマジだった。 おんぶを拒んだら、きっとお姫様抱っこされる。 近所で抱っこされるのは世間の目がきついし、 俺も男だ、プライドも傷つきそうな気がしてならない。 渋々、満さんの背中に乗った。 満さんが立つと、すごく高く感じた。 「行き先、旅館じゃなくて病院にしますか?」 「え?どうしてですか?」 「さっきから具合悪そうですよ」 「具合悪いとかじゃないので大丈夫です」 ちらりと見てきた満さんに、笑って言う。 満さんはそれ以上は聞いてこなかった。 「よいっしょ」 と、満さんがおんぶを直す。 エネマグラが深く刺さってきて、思わず呻いた。 「ふあ‥っ」 おかしいと思ったのか、満さんが歩きながら、 俺のあちこちを触ってきた。 そして、エネマグラに触れられてしまった。 ぎくっとしたけど、時すでに遅し。 「これが原因ですか?」 「はい‥」 「とりあえず、詳しいことは車で聞きますから」 「はい‥んん‥っ」 満さんが歩くだけで、中が疼く。 それでも、廊下でやらしい声出すわけにはいかず、 俺は声を堪え、おぶさり続けた。 地下の駐車場に到着し、 車に乗るのにも手を貸してもらい、 助手席でようやく安堵した。 運転席に座った満さんが、ふうっと溜め息を吐く。 ここまでの深い溜め息を聞いたことがない。 きっと、すごく呆れている。 恥ずかしくて死にそうだった。 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |