2015-07-15(Wed) 11:21:53
「え?これ‥何‥」
「疑ったことには謝りましたよね。 でも、それとこれとは話が別になります。 友達から貰ったもので遊ぶだなんて、悪い子だ」 俺の両手を縛り、ファスナーの中のソレを戻すと、 動くことのできない俺のシートベルトをしてくれてから、 満さんはベルトをしながらイグニッションキーを回す。 満面の笑顔は、怒っている顔だったのだ。 今やっと判ったが、判ったからって何もできない。 「温泉旅館までここから2時間かかります。 それまで、縛ったままでいて貰いますから」 満さんは言うと、セダンを発進させた。 地下の駐車場を出発し、太陽の灯りが車両を照らす。 陽の眩しさに目を閉じると、がたんと車が跳ねた。 駐車場の出口に、ちょっとした段差があるせいだった。 そして、その弾みでエネマグラが動いた。 「んああ‥っ」 声を堪えることができなくて俺は呻いてしまった。 恥ずかしさと悔しさと情けなさが、じわりと襲ってくる。 どうして、こんなことになっちゃったんだろう。 凛さんに逢いに行ったのも。 エネマグラを貰ってきたのも。 セックスする夢を見てしまったのも。 それを使っている時、満さんが帰ってきたのも。 全てたまたま重なって、満さんを怒らせた。 つんと鼻の奥が痛くなった。 泣きそうになりながら、満さんを見る。 見ている気配を察したのか、目と目が合う。 しかし、満さんはすぐに前を向いてしまった。 冷酷な態度に、ますます泣きそうだ。 「舞斗君」 「はい‥」 「判っていると思いますけど、 マンホールや、アスファルトに段差があったりすると、 さっきのようになります」 「はい‥判ってます‥」 泣きそうなところを見られたくなくて、下を向く。 すると、ぽんっと肩に満さんの手が乗った。 「私だってやりすぎだって思っています。 でも、それくらい怒っているんです」 「はい‥」 「だから、イッたら許してあげます。 ゴムもしているみたいですし、 ジーンズなんかは大丈夫でしょうからね」 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |