2015-09-23(Wed) 06:23:22
「そうですね」
思わず笑みが零れた。 余程、ふにゃりとした笑みだったのだろう。 つられた満さんの笑みも、 ふにゃりと柔らかいものだった。 「では、負けないためのアドバイスを、 私がしてもいいですか?」 「どうぞ」 これからもずっとキスすればいいんです。 ここでセックスするといいそうですよ。 満さんはこういうネタが好きだからな、 このどっちかと言うだろうと思っていた。 しかし、そのどっちでもなかった。 「2人きりの時だけフランクに話すのはどうだい?」 まさかの提案だった。 出会ってからの俺達は、ずっと敬語で会話していた。 それに対して、満さんなりに色々と考えていたらしい。 思わずくすりと笑った。 「いいよ、満」 俺がそう言うと、一瞬びっくりするも笑顔になった。 「よかった」 「でも、急に何で?」 「敬語は嫌いじゃないけど普通に話したくなったんだ。 ダメだったかな、舞斗?」 舞斗、と呼び捨てにされた俺は照れた。 体に響くハスキーボイスの呼び捨てにされて、 むずっと腰の芯が疼いてしまった。 ああ、やばい、ますます惚れそうだ。 「舞斗、顔が真っ赤だ。のぼせたなら上がろうか」 大きな手が、俺の頬を滑る。 あんなことやこんなこと、 果てはエネマグラで弄ばれもしてきたのに、 頬を触られたくらいで胸が跳ねるなんて、 今日はどこか調子おかしい。 そうだ、きっと本調子じゃないんだ。 「のぼせていないから、まだ平気だよ」 「上がって布団に入ろう?」 旅館の部屋は和室で、 当然ながらベッドではなく布団だった。 体を拭いて浴衣を着た満さんが、手早く布団を用意する。 そこに座った満さんが、笑いながら手で招いている。 おいで、ということは。 ずくんと、再び腰が疼く。 「ん、行く」 俺はさっさと風呂から上がった。 バスタオルで体をよく拭いてから、浴衣に着替え、 布団に潜り込んだ俺達は抱き合った。 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |