2018-09-21(Fri) 08:47:41
明日からレース場入りする。
レース場入りしたら今よりもっと距離ができる。 レース場入りしたら集中しないといけない。 もちろん、勝つ為に。 そんなの判っている。 昨シーズンはそう思ってやってきた。 言われなくても判っているんだ。 それでも心が揺らいでしまう。 目の前にいる恋人を抱き締めたいと。 恋しくて恋しくて堪らないと。 そう思っていたのは俺だけじゃないのだと。 光さんの目は、透き通るほど真っ直ぐだった。 俺は泣きそうな声で答えた。 「あ、はい」 「よし、じゃあ行くぞ」 光さんが会計を済ませた。 店を出て、すぐにタクシーがやってきた。 近くにあるシティホテルを告げると、 あっという間に着いてしまった。 ホテルは週末で混雑していた。 部屋が空いているか怪しかったが、 これくらいで光さんは怯むはずもない。 光さんはチェックイン用のカウンターで、 こんな事を言ったのだ。 「スイートルーム、1泊で」 びっくりする間もなくホテルマンがきて、 すぐに案内されてスイートルームに到着した。 到着するや即行で、光さんが洋服を脱いだ。 早すぎる展開に着いていけず、 ぼーっとしている俺の服も脱がされてしまった。 「おい、聖。シャワー浴びるぞ」 俺の手を引き、光さんはシャワールームへ行く。 熱い湯と、ボディソープの香りで酔いが醒めていき、 しっかりと醒めた頃にはベッドにいた。 ベッドルームは薄暗くなっている。 乗っかってきた光さんが、 ぎゅうっと抱き着いてから唇を重ねてきた。 「やっとキスできた。ずっとキスしたかった」 光さんの呟きに、俺はゆっくり頷いた。 次話へ 前話へ お気に召しましたら一票お願いします。 |