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  [ 決めたゴールを走れ2nd 21 ]
2019-06-11(Tue) 15:50:24
「ほらよ」
光さんからαチームのデータ2つを貰った。

カーブでの走り方、スピードの出し方、
ブレーキの踏み方、ハンドルの切り方、
それらがデータ化されている。
一緒にロイのデータと比較していく。
直す点、今のままでいい点、
それらを洗い出していき次に繋げる。

もう1つはピット作業のデータだった。
ピットにマシンが入ってきてから、
みんなの動きがどうだったか記されている。
1つ1つをもってしても、
βチームはαチームより劣っているのだ。
これはもう練習あるのみだろう。

「三木谷が、聖にこれを渡したいって、
 頑張って作成してた」
光さんが笑顔で言った。 

「まあ、そんなに落ち込むなよ。
 新チームなんだし何もかもこれからだ」
「そうですね」
「データの受け渡しができるのは、
 同じチームとして得だよな」
「そうですね」

急に、くしゃりと髪の毛が掻き回された。
何がなんだか判らなくて、きょとんとした。
目の前に、ちょっと怒っている光さんがいる。

「俺、これでも励ましてんだぞ?」

そう言うと、みるみる頬が赤く染まった。
怒っていない、照れていたのだ。
光さんの励ましなんて、レアものである。

ぷっと思わず吹き出した。
「すみません。ありがとうございます」

すると、光さんが少しだけ周りを見てから、
俺の顎を上げ、ちゅっと軽く唇を重ねてきた。
それを挨拶にして、光さんは隣に戻っていく。

俺は、全身の血液が沸騰した。

かーっと体が熱くなった。

カラカラに喉が渇いてしまい、
温くなったコーヒーを流す。
そして、誰もいないピットで呟いた。

「ありがとうございます。頑張ります」

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