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  [ 雨上がりの最果てで 1 ]
2012-12-01(Sat) 07:30:00
高校1年生で、バイトを始めた。
きっかけは兄貴だった。
兄貴は、コンビニでバイトをしていた。
家にいても暇だから、という理由だった。

俺はバイトに文具店を選んでみた。
コンビニよりも時給がよかったからだ。
仕事の内容は、バックヤード作業が中心なんだけど、
商品の整理に陳列、営業の仕事の確認と発注、
たまにレジが不足していればレジもやる。

みんないい人ばかりで楽しかった。
楽しいから続けられた。
辞めたいなんて思ったこともなかった。

2年が経過し、バイトの先輩になった。
そこで入ってきたのが、波多野夏樹。
同じ高校と知り、他のバイト仲間より話すようになり、
あっという間に距離は縮まっていった。

でも、恋心なんか皆無だった。

だって、当時、付き合っている女の子がいたから。

波多野は人懐こく、話すのが楽しかった。
ゲームが好きで、お互いの家に、
ゲームをしに遊びに通うようになった。
男同士、だらだらするのも悪くないって思った。

いつからか、彼女といるより波多野といたい、
と思うようになって心がもやもやした。
この感情が何なのか自分で判らなかった。

もやもやを抱えながらバイトをしていたある日のこと。
営業課長の柏葉さんと敏腕営業の佐伯さんから、
印刷受注の書類を預かって印刷部へ発注に行ったら、
部数を書くところが空欄だと言われてしまい、
急いで営業部に戻った。

そこで、俺ははっきり見てしまった。

柏葉さんと佐伯さんの、キスシーンを。

スーツに身を包んだ、サラリーマンが、
2人しかいない営業部で、明らかにキスを交わしていた。

キスが終わってから、2人が微笑む。
突発にした態度ではなく、恋人がする態度だった。

扉前をばれないように後退りして、俺は非常口へ走り、
口を押えながらその場に蹲った。
頭と胸が、ぐるぐると回っているような感じがした。
吐くのかと思ったけど吐かなかった。
荒い息がどうにか落ち着いてから、涙が出た。

羨ましいって思っている俺がいた。

自分の感情を自覚し、また頭と胸が回った。
制御することのできない感情に、体のほうが追いつかない。
吐きそうで吐けなくて、涙も勝手に出る。

偶然、非常口を通った波多野が寄ってきた。
「仲村さん!どうしたんですか?」

波多野を見上げ、俺はとうとう知ってしまった。

俺は波多野が好き、ということを。

次話へ

新しいお話がようやく始まりました。
同時に、WEB拍手も変更しました。
(WEB拍手はネタばれ注意です)

郁央と波多野の、ラブファンタジーストーリーです。
これからどうなるか?温かく見守って下さい☆


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