BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 風のように遥かに 1 ]
2010-07-27(Tue) 10:10:44
校庭は炎天下で危険、かどうかは不明だけど、
終業式は何でだか体育館で行われた。
炎天下はイヤだけど体育館はサウナだし、
どっちも暑いことには変わりない。
そういうわけで、明日から夏休みだ。
けど、俺はそれくらいで浮かれていられない。

夏休みのほとんどがサッカーの練習だ。
休みなんてほとんどないに等しいけど、
彼女がいるわけでもなく、旅行があるわけでもなく、
雑念なしにサッカーのみ謳歌できるときた。
実に、青春らしい青春である。

校長の話が終了し、サウナから出られると思いきや、
生徒会よりお知らせだとか、風紀委員よりお知らせだとか、
ぐだぐだとまだ話が続いている。

そんなのプリントで配ってとっとと終わらせておけ、
と思っているのは俺だけじゃないはず。
このままだと、ネクタイまで汗だくになりそうだ。

うちの学校は普段は私服だけど、
式とつくものには指定の制服を着なければならず、
滅多に着ない制服を纏っている。
着慣れないせいか堅苦しく、気のせいか肩までも凝ってくる。

半袖のYシャツにネクタイはみんな平等で、
男子はスラックス、女子はスカート、という仕様だった。
普段は私服だからみんなの制服は新鮮である。

ネクタイが汗だくになる前に、終業式が終了。
終業式後、ホームルームを終わらせて、ようやく解散となる。

運動系の連中は、午後からの練習があるから、
昼ごはんを買いに行ったり、昼ごはんを食べたり、
はたまた自主練したりと、みんな自由にしている。
運動系の連中以外は、ぱらぱらと帰宅していた。

俺はそんな中、昼ごはんも買わず食べずで、
何となく屋上への入口に立っていた。

ここ、いつも気になっていた。

昼休みや練習中にも何度も、ここに誰かいたように見えた。

それをリュウ先輩に相談したことがある。
3年生の喜多隆一、通称リュウ先輩は、うちの正キーパー。
尊敬している先輩のうちの1人で、
準キーパーである俺がミスするたびに、
愛の鞭とばかりにぎりぎりと締め上げてくれる。

「あそこは頑丈な南京錠で閉鎖されていて、
 誰だって絶対に入れない。
 それより、マキ、部活中によそ見する余裕があるのか」
と、リュウ先輩にやはり、ぎりぎりと締め上げられた。

俺より背はちょっと低いけど、筋力がマジで半端ない。
実家がフィットネスを経営しているだけあって、
かなり鍛えていると見える。

リュウ先輩にはそう断言されたけど、
やっぱり気になってまたここに来てしまった。
今日きたのが2度目。

前回は、かなり古臭い南京錠が門番のように、
がっちりと締まっていて入れなかった。

「あれ?」
前回とは異なり今回は、鍵が外されて床に置かれている。

南京錠を手に取ると鍵が壊れていた。
これが壊れているのを知っている誰かが、
やっぱりここに出入りしていたんだ。

ほら、やっぱり俺は正しかった。
リュウ先輩にこれで仕返ししてやる。
あ、いや、返り討ちにあってまた俺が締められるか。

俺は、そっと扉を押して、静かに屋上に出てみた。
ぶわっと髪を乱すほどの強い風が、すごく気持ちいい。
なんて喜んでいると、どこからか声が聞こえてきた。

「‥ん、ん」
くぐもったような、性別がはっきりしない声色。

俺は、その正体を見破るため周囲を見回した。

次話へ

新しいお話が始まりました。
お付き合い頂けると嬉しいです♪
実は、タイトル決まらず1週間くらい悩みました(笑)
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