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  [ 銀の翼が恋を知る 1 ]
2012-07-03(Tue) 06:20:01
日樫辰哉、ニックネームはタツ。
タツとはサッカーチームのチームメイトだ。
小学4年生で、
地元チームではなく遠方のクラブチームに入部した。
そこで、初めてタツと逢った。

当時のタツには弱視があり、メガネをしていた。
それをネタに、タツはチームメイトにからかわれていた。
子供にとっては自分にないもの、
つまりメガネというものは、憧れでもあり珍しくもある。

チームとしては正常に起動していたけど、
仲がいいとは言えなかった。
からかわれてもタツはシカトしていた。
だけど、さすがにシカトに疲れてきたのか、
タツはある日こんなことを言った。

「僕はメガネが好きではない。
 だが、メガネをかけないと、
 みんなの顔やボールが見えないのだ。
 みんながモヤイ像に見えるがそれでもいいか?」

モヤイ像に見える、という言葉でみんなが理解した。
メガネがないと、それほど見えづらいのだと知り、
それからは誰も何も言わなくなった。
メガネも然ることながら、時代錯誤なその言葉遣いに、
みんなで爆笑してしまった。

俺はタツにメガネのことを言ったことはない。
むしろ、メガネって格好いいという思慕さえあった。
まあ、残念ながら視力はよすぎて、
メガネなんてものには無縁すぎるくらいだけど。

初めはタツのメガネに憧れた。
次第に、タツのプレイをよく見るようになっていった。
いつの間にかタツのことばかり見ていた。

中学生になっても、それは変わらず続いていた。
タツはメガネではなく、コンタクトになったり、
俺のポジションが変わったりもした。
次第にチームワークが抜群によくなっていって、
数々の試合で、面白いくらい優勝をかっさらった。
みんな、このチームが最強だと確信していた。

高校受験間近で、チームを辞めざるを得なくなった。
元々、このチームは高校受験までなんだ。
だから、高校に行ってしまえば部活に入るしかない。

タツは頭がよく、有名な進学校を受験。
という手筈だったが、受験当日、
風邪を引いてしまってタツは試験を受けられなかった。
しかも、合格人数がオーバーし2次募集もなかった。

俺は、自分が受かった公立を勧めた。
そんなにバカな学校ではないし、
タツとサッカーを続けたかったからだ。
すると、タツは、そうすると言ってあっさり受かった。

そこで初めて判った。

俺はタツのことが好きなんだって。

そうじゃないかと思うようなきっかけは、
これまでにもいくつかあった。
だけど、一緒の高校に入学し、
歓喜したことでタツへの気持ちがはっきりした。

隠そうとは思わなかった。
嫌われても気持ち悪がられても、思いを告げたかった。
思ったらそれは止まらなかった。

だから、入学式当日。

部活を見学後、タツを呼び出した。

近くの公園へ行って、誰もいないのを確かめてから、
思い切って俺は言った。
「タツ、俺と付き合って」

次話へ

銀の翼が恋を知る、スタートです。
リュウ視点の、サッカーと恋のお話になります。
いきなりリュウがタツに告白しちゃっておりますが(笑)
温かい目で見守ってやって下さい。


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