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  [ 銀の翼が恋を知る 2 ]
2012-07-05(Thu) 05:15:04
「ああ、いいぞ」
タツからの返事に感極まってしまい、
思わずガッツポーズを決めた。
サッカーで勝った時よりも嬉しかった。

反面、これは夢なんじゃないかとも疑った。
自分で自分の頬を摘む。
摘みすぎて痛かったが、夢じゃないんだと確かめられた。

それから。

タツは、俺と色んなところに付き合ってくれた。

登下校、職員室に昼食時、トイレ、部活後の自主練も。
しばらくして、何かがおかしいと感じた。

自主練中、マジメにシュート練習をしていたタツに、
俺はふと訊ねた。
「俺達、付き合ってる?」

タツは怒った顔になった。
「こんなにリュウに付き合っているではないか」

マジだったタツに、がっくりした。
どうやら認識に相違があったらしい。
付き合う=俺はあなたが好きです、
というつもりだったけど、
タツにはそれが伝わっていなかった。

くそ、こんなことくらいではめげない。

「タツ、そういう意味じゃないんだ」
「どういう意味なのだ?」
「俺はタツのことが好きなんだ」

はっきり言ってやった。
顔が熱く、脈が早い。
汗がだらだらと流れている。
緊張と興奮で、すぐにでも卒倒しそうだった。

ここまで言えば伝わるはずだ。
伝わらないならタツは激バカだ。

タツは不思議そうな表情で、俺をじっと見ている。
イエスなのか、ノーなのか。
シンキングタイムのような、この間が憎たらしい。
そして、タツは腕を組むと、当たり前のように答えた。

「俺もリュウが好きだぞ」

きたきた、きた。

ご都合的展開が、やってきた。
そうだよ、これだよ。
やっぱり両思いじゃないと、
ラブストーリーは始まらないって決まっているんだ。

ありがとう、神様。
俺はタツのこと幸せにします。

「だって、俺達はチームメイトであり友達だろう?」

神様の裏切りは、なぜこんなにも無情なのだろうか。
俺はちょっと切れながら言った。

「違う違う、そうじゃない。
 チームメイトでも友達でもなくて、
 タツのことが恋愛対象だってこと」
「どうしてだ?」
「そんなの俺も知るかよ。いつの間にか好きになってた」
「そもそも恋愛というのは同性でもありえるのか?」
「だから、そんなの俺が知るわけないだろ。
 まあ、同性だろうが異性だろうが、
 お互いが好きなら、いいんじゃないの?」

何しているのだろう俺は。
タツに告白した直後に、
なんでこんな質疑応答をしているんだ。

いや、タツは、恋愛に至っては特別に疎い。
そこまでは判っていたけど、まさかここまでとは。

俺はタツのどこが好きになったんだろう。

今にして思えば、それが謎だった。

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このお話は珍しくギャグ>ほのぼのです。

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