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  [ 銀の翼が恋を知る 3 ]
2012-07-08(Sun) 04:40:00
「リュウ、まずは場所を変更しよう」
「何だよ急に。まあいいけど、どこにするんだ?」
「どこでもいい。俺は何だか腹が減った」
ずっこけそうになった。
「あのさ、俺は今!ここで!
 タツに好きだって言ってんの!」
「それは判った」
「じゃあ、腹が減ったって急に何だよ」
「だからさっき言っただろう。
 俺は何だか腹が減った。どこかに行こう」

タツの腹が鳴った。
つられるように、俺の腹も鳴る。
深い溜め息を吐き、ぐったりと呟いた。

「ああ、もう、判った判った。
 だったら自主練終わりにして、
 今からファーストフードに行こうか」
タツのペースに乗せられてしまい、自主練が終了。
練習着から私服へと着替えて、
仕方なくファーストフードへ出発した。

気まずくて黙ったまま歩いていく。
ファーストフードに到着してメニューを注文し、
2階に上がって客席に座った。
タツの向かいに座って、
俺はタツが頼んだのと同じハンバーガーを食べる。

「って、違うだろ」
「何がだ?」
「さっきの返事聞かせろ。
 付き合うのか付き合わないのか」
「その前にちょっと話していいか?」

ハンバーガーを食べ終わったタツが、
ノートとシャーペンを取り出して、
テーブルに身を乗り出した。
そこへ、現在のフォーメーションを記入していく。

「これ、どう思う?」
「どうって、フォーメーションはいいけど、
 先輩達がそれぞれ配置したら、全てが穴だな。
 俺達よりも先輩なのに、チームワークばらばらだし」
「同意見だ。チームワークもそうだが‥」

このサッカーバカは、告白を無視し、
フォーメーションがどうの、テクニックがどうの、
とサッカーの話を始めやがった。
そして、あっという間にノートに書いたことが、
いっぱいになってしまった。

ほんの一瞬だけ腹立った。
だけど、タツの気持ちも理解できる。

俺達がいたという有名なクラブチームは、
強さを求めて、全国から練習生が集結した。
試合のためならどこにでも出向いた。
練習も合宿も、ハードだったけど、
勝つことが楽しくて嬉しくて、
一丸となってみんなで頑張っていたんだ。

それに比べて、サッカー部はレベルが低すぎる。
勝つためのサッカーではない。
楽しむためのサッカーをしている。
これでは、勝てるものも勝てはしない。

監督曰く和賀校は、
キャプテンを中心に練習の内容や方針が作成される。
卒業した先輩達は、かなり厳しかったと聞いた。
現在の3年と2年は反動で、
それらをかなり緩くしてしまったらしい。

勝ちたいからそこ厳しいメニューに耐える、
そんなの当たり前だ。
俺もタツもサッカーで勝ちたい。
勝つことを楽しみたい。

その思いだけは同じだった。

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