2012-07-11(Wed) 07:10:07
「タツの言いたいことは判ったよ。
だけど、俺はマジでお前のことが‥」 「どうすればいい? どうしたら今のチームで勝てるのだ?」 ポテトを食べていたタツの手が、ぴたりと止まった。
恋愛よりもサッカーが大事だって、
言われなくても判ってる。 しかも、タツの場合は余計にそうなんだ。 「どうもこうもできないって。 俺達にできることを精一杯やるだけじゃん」 「そう‥だな‥」 「で、さっきの話に戻っていい?」 「さっきの話って何だ?」 俺、何だかタツのこと殴りたくなってきた。 ぶるぶる震える手を、ぐっと握り締める。 「俺はマジでタツのことが好きなんです。 判ってますか?好きなんですよ?」 呆れながら言ったせいか、おかしい敬語になった。 しかし、ようやく言ったことが通じたらしく、 タツがきょとんとした。 きょとんが可愛いすぎて興奮してしまい、 真っ赤になった顔を隠すために、顔を手で覆う。 「リュウが俺のことを?」 「そうだよ」 「いつからだ?」 「俺もそんなの知らない。気づいたら好きだった」 「本気か?」 「本気じゃないなら告白なんかするかよ」 タツは困ったような顔をして、ジュースを飲んだ。 そりゃそうだよ、いきなり告白されたら困惑するさ。 って、いきなりも何も前にもしたけど。 しかも、男と男だ。 困惑どころか混乱したって、おかしくはない。 「そんなことは始めに言うべきだろう。 付き合ってほしいと俺は言われた。 それだけで俺もそこまで判るはずがない」 「あ‥はい‥すみません」 なぜか説教されて、俺は凹んだ。 しょぼんとしながら、冷めたポテトを持って、 もそもそと食べる。 「保留、でいいか?」 まさかの答えに驚いた。 困るとか気持ち悪いではなく、保留。 保留ということは可能性はある。 答えるのは今じゃないけど、 タツなりにしばらく考えてくれるってことだ。 「いい!それでいい!」 目をキラキラに輝かせながら、元気よく返事した。 次話へ 前話へ WEB拍手更新しました。 気分転換にブログのテンプレ変更しました。 不具合などありましたらご一報願います。 お気に召しましたら一票お願いします。 | 銀の翼が恋を知る | TB:× | CM : 0 | ↑ |