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  [ 君とは幸せになれない 77(完) ]
2013-12-06(Fri) 06:15:00
彼が、僕の手を握る。

僕は、手を払おうと腕を動かした。

けれども、彼の手の力は強く、決して離れない。

「イヤだ」
「わがまま言わないでくれ」
「どっちがだよ」
「僕達の関係、きちんと把握しているのか?」
「してるよ、それくらい」
「だったら!言わなくても判ってくれ!」

腕を振ると手が離れた。
しかし、彼は諦めずにまた手を握ってきた。
思い詰めたような硬い顔をしながら。

僕は、ただびっくりした。

どうして、ここまで僕を求めるのだろう。

いい相手なら、他にもいっぱいいると思うのに。

「言われなくても判ってる」
泣きそうな顔で、絞り出すように彼が言う。
震える手を、そっと僕は離した。
彼の手が、だらりと垂れ下がって手を握ってこない。

拳を握り、彼の目を見て、静かに言った。

「君とは幸せになれない」

彼の目から涙の粒が、つっと流れる。
しかし、彼はそれを拭わなかった。

「言われなくても判ってる」

震える手が、またもや僕の手を握ってきた。
僕の目からも涙が流れた。
どうしてなのか判らなかった。

「恋人とか血縁とか、そんなの関係ないから。
 ただ、ずっと傍にいたいって思ってる。
 幸せになれないかもしれないけど俺はそれでもいい。
 だから、公明‥この手を離さないで‥」
僕の手を握る手に、やんわりと力が込められた。
相当の決意が、その手から流れてくる。

どうすればいい、どうしたらいい。

どうすることが正解になるのだろう。

「お願い‥公明‥」

こんなにも彼は僕を求めてくる。

何もかもを判っていながら、それでもだ。

僕は、ぐっと唇を噛みながら、震える手を、
ゆっくりと握り締めるしかなかった。

前話へ

君とは幸せになれない、これでおしまいとなります。
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのかは、
ここまで読んで下さった皆様に決めて頂ければ幸いです。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


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