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  [ 全てを任せてキスをする 1 ]
2013-12-31(Tue) 05:25:00
結局、彼に押される形で僕は、
恋人みたいな関係になった。
デートをしたりご飯を食べたりするが、
どうしても営みには持っていけない。

やはり、どうしても引け目があるらしく、
僕のソレが勃たないのだ。
舐めてもらっても扱いてもらっても、
だらりと、まるで無反応である。
これには僕もさすがに情けなかった。

「すまない」
そう謝ると、彼は静かに首を振った。
「いいよ。少しずつ進もう」

こんなことは人生初であった。
受診するという方法もあるけれども、
精神的なものが強いのは理解していたから、
僕はどうにかなるのを待つことにした。
彼も、それに同意してくれた。

それから1か月後だった。

「公明、母さんが亡くなった」

仕事中にそんな電話がかかってきた。
もちろん彼からだった。

彼自身それなりに覚悟はあった。
電話の声は淡々と、とても事務的だった。
それでも、どこか悲しさを漂わせた。

「これから病院にむかうよ」
「仕事は?」
「いいんだよ、そんなこと気にしなくて」
「ありがとう」

言って電話を切ると、林君に話をして支度を始めた。
ここは大丈夫ですから、と微笑んでくれた林君に、
にこりと僕も笑いながら頷き返した。

外に出るとまだ風が冷たい。

その風を頬に受けて、僕は歩いた。

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