BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 青い空を見上げて2nd 47(完) ]
2010-07-19(Mon) 04:30:43
阿久津城


残れる者は、空港内を適当に見学後、
2時間後に到着ロビーに集合となった。
みんなが散らばる中、ウツミはマキの元に走っていった。
「‥マキ、ちょっといい?」
「な‥何?」
「‥金曜、酔い潰れた俺を運んでくれたって、
 ジョーに聞いたんだ。ありがとな」
「あ、や、うん。いいって」

ウツミの顔をまともに見られないのか、マキは目を逸らした。
きっと、マキはまだショックを引きずっているんだろう。

ちなみに、俺とのキスをマキに見られたことは、
ウツミには言っていない。
クレウス達のアレを覗いておいてなんだが、ウツミに言えない。
言ったら殴られるか、それとも卒倒するか。

マキは別の男子と一緒に去っていった。
俺達はカフェで休憩して、ショップを巡って、
それから到着口へむかった。

早めに行くと、担任である結城のみがいた。
井出の家族が来ないのか訊ねると、
父親はトラック運転手、母親はヘルパーで、
どうしても休みが取れなかったとのこと。

なるほど、家族が揃うのは滅多に無いのか。
じゃあ、木曜は珍しく家族が揃っていた、ってとこか。

そうこうしていると、みんなまた集まり始めてきて、
さっきいたメンバー全員揃ってしまった。

結城が、ディスプレイと時計交互に見比べている。
「おかしい。到着しているはずなのに井出がこないぞ」
「もしかして飛行機利用したことないっすか?」
「ああ、ない」

即答の結城に、俺は答えた。
離陸後、飛行機を出るのに廊下が詰まること、
到着場所によっては専用バスでの移動になること、
ターンテーブルの荷物はスムーズに手元にこないこと、
税関を通ったり入国審査は渋滞で並んだり、
と何をするにも時間がいる旨をきちんと説明する。

何人かのクラスメイトと結城、それからウツミも、
揃って感心したように頷いた。

そうこうしていると、何も変わりない井出の姿が現れた。
まさに一週間ぶりだ。
女子や男子が、笑って井出を囲んだ。

「お帰り!」
「黙ってアリゾナ行ってずるい!」
「あっちは楽しかった?」
女子にもみくちゃにされて井出がたじろいでいる。

「あはは。ただいま。みんなありがとう。
 校長先生に、黙っていって驚かせようって誘われたから、
 ついつい私も乗っちゃったの。ごめんね。
 あ、阿久津君、これ預かり物」
はい、と井出に白い封筒を渡された。

びりびり破いて開けると、
クレウスとミレトスの父親からの手紙だった。
相変わらず汚すぎて読めない筆記体は、
英語ではなくスパイ用暗号文かアラビア文字のようだ。

「あいつらめ‥」
俺は、一通り読んでから手紙を握りつぶした。
当たり所のない憤りが、ふつふつと湧き上がってくる。

「‥ど‥どうした?」
こめかみに浮いた血管にでも驚いたのか、
ウツミが引きつつ訊ねてきた。

「夏休み、家族揃って日本にくるってさ。
 もちろん、クレウスとミレトスもだ。
 あいつらそれを知っていてあんなことを‥!」

ミレトスのは、ウソ泣きだ。
クレウスの笑い方がへんだったのは、
たぶん、ミレトスがおかしくて笑いを堪えていたんだろう。
よく思い出せば、クレウスの頬がぴくぴく震えてたっけ。

俺は、飛行機が飛んでいるであろう方向を睨みつける。
双子はもう機内食を片付けて、俺のこと笑っているに違いない。
ケンカしてたって俺はもう関わってやるもんか。

ウツミは俺の隣で笑っていた。
「‥クレウスとミレトスらしい。
 今度はちゃんと歓迎しよう。俺達2人で」

誰からも見えぬよう、ウツミが手を繋いできた。
その指に指を絡めて、俺達は、そっと手を握り合った。

「そうだな。俺達はずっと一緒だもんな」

ウツミはちょっとびっくりしてから、すぐ嬉しそうに頷いた。

前話へ

これにて青い空2ndおしまいとなります。
ここまでお読み頂きまして、ありがとうございました。
連載中、拍手やコメントをたくさん頂戴しまして、
それらを活力にしながら、ここまでくることができました。
本当に感謝です。ありがとうございます。

双子の登場で、ジョーとウツミが振り回されましたが、
それをきっかけに改めて関係を見直すお話となりました。
今回のコンセプトは、マジギレするジョーと、
色んなシチュエーションのエロを書きたい、でした(最悪)
ジョーは、穏やかだけど怒ったらマジで怖い、
というのがお伝えできていれば嬉しいです(`・ω・´)
エロは、くっついて少し時間が経っているので、
そろそろ色んなエロを書きたい!という欲望でした(*´∀`*)
実はまだエロ書き足りないので、
たまに短編で発散しよう♪と密かに思ってます。

これからも精進して頑張りますので
お付き合いのほど宜しくお願いしますm(_ _)m
本当に本当に、ありがとうございました!
BL小説青い空を見上げて2nd | TB:× | CM : 2
青い空を見上げて2nd 46HOME君、何を想う(青い空2nd番外編) 目次

COMMENT

  +
拍手を下さったR様

コメントありがとうございます!
R様を始め、たくさんの方々の拍手を活力にしまして
こうしてお話を終えることができました。
夢中になって頂きまして恐縮です(≧∇≦)
今後も、そのように言って頂けるような
お話を書いて参りますので宜しくお願いします♪
短編はエロのみという救いようのない内容ですが(;´艸`)
少しでも楽しんでもらえるよう頑張ります。
青い空3rdは、あるような、ないような‥(苦笑)
でも思い入れの強い話なので、機会を作って
3rd書けたらいいなと思います(*・▽・*)
(今の所、ネタは全く無いですが(笑))
またブログへ遊びにいらして下さいね♪
b y 水色 | 2010.07.20(16:40) | URL | [EDIT] |
  +
拍手を下さったヤバス様

初めまして!コメントありがとうございます!
すっごく面白かったですか!
そう言って頂けて、とても嬉しいです(*^ワ^*)
今後もそう言って頂けるよう頑張ります!

ジョーとウツミのお話に涙して下さったとか(ノД`)
ああああありがとうございますm(T▽T)m
2人はきっと今頃も、ラブラブしているかと思います。
いつかまた2人の続編でも‥と密かに企み中です♪
その頃までどうか他の作品でもお読み頂きながら、
お待ち頂けると嬉しいです(笑)
まだまだ私の萌え放出は止まりませんので、
今後もお付き合いのほど宜しくお願いします!
b y 水色 | 2011.02.09(09:17) | URL | [EDIT] |

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