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  [ 君、何を想う 1(R18) ]
2010-07-23(Fri) 09:30:16
阿久津城


「‥むぐっ」
ウツミがベッドから飛び出していった。
たぶんトイレに行ったんだろう。
そして吐いているに違いない。

時々、ウツミの夢に親が出るらしい。
もちろん歓迎しないウツミはそれを拒絶し、
生得的な精神の防衛本能で、吐くんだと思う。

ここに住んでからこれが初めてじゃない。
もう何回もだ。

仕方ない、と俺は思う。
人にはそれぞれ抱えているものがあり、
それを取り除くのは、結局、自分自身だ。

様子を見にトイレに行くとウツミの姿がもうない。
それならキッチンか、とそちらへ足をむけると、
ウツミは水を飲んでいた。

「ウツミ、また吐いた?」
「‥うん。でも平気だから」
「そうか」

ウツミの顔色が蒼白している。
俺にできるのは頭を撫でることくらいだ。

「‥もう一眠りしよう。せっかくの日曜潰したくないし」
「俺はせっかくの日曜をベッドで過ごしてもいいけど?」
「‥ジョーってそればっか」

どうせそればっかですよ、俺は。

俺の部屋に戻り、ウツミが汗だくなのを見て、
クローゼットから別のシャツを出した。
それを受け取って、シャツを脱ぐウツミ。

透き通るような白い肌の、しなやかで、したたかで、
そして、脆そうで壊れそうな、背中。
父親に振るわれた暴力の傷がそこにあった。
俺は思わずウツミを抱き締め、その背に頬を当てた。

「‥何だよ。どうしたんだよ?」
「別に」

俺のパワーが少しでもウツミに移ればいい。
そうすれば、ウツミが辛くならずに済むのに。

なんて考えていると、ウツミが急に正面を向いて、
ぎゅっと抱きついてきた。
ウツミの温かさが伝わってくる。

「‥着替えないと風邪ひくだろ。いつまでくっついてんだ」
ウツミの台詞の矛盾さがおかしくて、つい吹き出した。

「ウツミだって抱きついてんじゃん」
「‥俺はいいの」
「何だそれ」

おかしさを堪えきれず、あははと声にして笑った。
つられたのか、ウツミも少し笑ったみたいだ。

少ししてウツミが震えてきた。
たぶん、汗をかいたから冷えてきたんだろう。
腕を緩めてやるとウツミはシャツに腕を通した。
その隙を狙って、ちゅっと今度は背中にキスをする。

「‥シャツ着られない」
「気にしないでいいから」
「‥だって‥んっ」

シャツよりも俺が温めてやろうと、あちこちキスをする。
ウツミの背中しょっぱい。
夢でこれだけ汗をかくウツミを見ているだけの俺。
してやれることは何もないんだけど、やっぱきつい。

いや、ウツミの傍にいることだけなら俺にだってできる。

俺にしかできないが正しいかな。

ウツミの背をキスで埋めていると、
先日の授業でやっていた筋肉の名称が、ぱっと頭に浮かんだ。

「ここ、脊柱起立筋」
「‥んん、そ‥だな‥」
ウエストにキスをすると、ウツミは震えた。

「それでここが、大円筋」
脇の下だったか脇の横だったか、そこら辺に吸い付いた。
さっきよりも、びくんと体を震わすウツミ。

「‥あ、あ‥ん‥」
「で、ここが、えーと‥」

保健体育の授業は退屈だ。
だから、こういう実習があったら最高だろうし、
医者になれるくらい記憶力がアップしそうだ。

「‥ジョー」
「どうした?」
「‥も、いい‥から‥」
「いいじゃん。ウツミの背中美味いよ」

可愛いし美味いし、何よりも触れることに幸せを感じる。
それにまだ全て舐め終わっていない。

たぶんウツミは背中のキスでは物足りないんだろう。
それならそう言えばいいのに、いつも発言が遠回しだ。
何もアクションがないなら好きにさせてもらうか、
と俺はウツミの胸元を撫でてやった。

「‥く」
ウツミが小さく呻いた。

胸元の突起を、触るか触らないか、
ギリギリのラインを指でなぞっていくと、
本体に触れていないのに突起が膨らんできた。
今すぐにでも食べてくれと言わんばかりに、
ウツミの胸元で主張している。

発言は遠回しだけどここの反応は正直だ。

「このまま続きしていい?」
「‥うん」

ウツミが頷いて、ふわりと髪が揺れる。
露になった白いうなじに、たまらず吸い付いた。

次話へ

ジョー視点始まりました。
ジョーのフィルタは非常にポジティブです(笑)
イヤなこともイイに勝手に変換してしまいます。
そういう部分を楽しんで頂けたら嬉しいです♪
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作者の独り言 4HOME君、何を想う 2(R18)

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