BLUE BIND
BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
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Author:水色
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僕達の体育祭 (8)
青い空を見上げて2nd (48)
君、何を想う (9)
風のように遥かに (39)
魚心あれば水心 (6)
雲の上の輪廻 (4)
その雪景色窓辺より (42)
傷痕は誰が為の (13)
星が刻んだ未来さえ (69)
その手はひとつじゃない (8)
青い空を見上げて3rd (70)
僕達の学園祭 (8)
蒼空と流星の狭間 (30)
見知らぬとこで七色が (42)
決めたゴールを走れ (93)
ゴールの先に在るもの (11)
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そして水の言葉は生まれる (10)
雨上がりの最果てで (58)
雨の屋根の下 (7)
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私にも何かやれることはないか、
と思ってリンクを繋ぎました。
小児ガンや無毛症、事故等で、
髪を失った方へ髪を寄付している
NPO団体のホムペです。
水色も伸ばして寄付する予定です。
ジャパンヘアドネーション
これは皆様もご存知のはず。
実は私、献血大好きなのです。
いつも400取ってもらってます。
体力的・時間的に余裕のある方々、
ぜひご協力をお願い致します。
日本赤十字社
寄付や献血を、行ったり訴えることが、
キレイ事に見えても構いません。
必要としている人がいるのは確かです。
実質的な行動はなくとも、
こういうのがあるということを、
知ってもらえるだけでも嬉しいです。
お読み頂きありがとうございました。
[ 風のように遥かに 6 ]
2010-08-04(Wed) 05:55:39
うちの治療院は夜9時までやっている。
ほら、今だって入口が明るい。
「ただいま」
裏口にある玄関ではなく、
道路側にある治療院の、ガラスの扉を開けた。
すぐのところに受付のカウンターあり、
そこに姉が座って筆を滑らせている。
たぶん、カルテでも書いているんだろう。
夕食前後はいつも人が少ないから、
こういう時間はデスクワークが中心になる。
「おかえり。あれ?またあんた三波君担いできたの?
そっか。そう言えば、最近、うちにきてなかったね」
「こんばんは。すみません」
過去に2度、中学時代に、
学校から先輩を担いでここに連れてきたことがあった。
タクシー使えばいいのにと言われたけど、
以前、タクシーに乗ってワンメーターだった時、
先輩はドライバーにケチつけられた経緯があるらしく、
それからはタクシーには乗りたくないそうだ。
それを知っている姉は、ふんぞり返って笑った。
「いいのよ謝らなくて。
こいつは体力バカだから奴隷にしてやって」
「体力バカってなんだよ失礼な」
ぼやきつつ姉が指定したベッドに先輩を下ろすと、
マッサージ用のベッドで横になっていた兄が、
かかかっと笑った。
「お前が体力バカじゃなかったら誰が体力バカなんだよ」
兄は、小学生からずっと野球一筋だった。
しかし、ピッチャーとして肩を痛めてしまって、
野球選手を目指していたが高校時代に断念。
現在は、趣味程度として少年野球のコーチをしている。
「兄ちゃんには言われたくない。野球バカめ」
「何だと。サッカーバカめ」
「バカって言う奴がバカなんだよ」
「あ!今バカって言った!バーカバーカ!」
16歳と22歳の、幼児並日常的会話。
あまりの低レベルさに、ミナミ先輩と姉が苦笑いした。
ちなみに姉は元スイマーの、24歳の独身だ。
「永遠にやってなさい同類が。
それじゃあ父さん呼んでくるわね」
「オヤジどこ?」
「ご飯よ。そろそろ戻ってくると思うけどね」
といったところで背後にオヤジがやってきた。
「呼んだか?」
しーはー言いながら、つまようじで歯を突いている。
俺よりも背が高くて、筋肉ムキムキの父親。
元ラガーマンで誰であろうとも逆らうことはできない。
母さんを除いては、だけど。
「ミナミ先輩がまた悪化したみたいなんだ」
ベッドに寝転がっている先輩を、俺達の後から見る父親。
「またか。ちゃんと通わないと治るものも治らないぞ」
「こんばんは。すみません」
先輩は、ぺこりと頭を下げた。
「このまま電気をやろう。それから針するか」
父親が姉に指示を出し、言う通りの準備を姉が始めた。
兄も、それを手伝っている。
「あの、その、実は僕‥」
「先輩、あいにく持ち合わせがないって。ツケでいいだろ?」
先輩が言いづらそうに口ごもっていたから、
頼まれていないけど代弁で言わせてもらった。
「ああ、ツケだな。それとも体で払っていくか?」
うししと、オヤジが嬉しそうに笑う。
しばらく来院のなかったミナミ先輩を、
オヤジなりにからかっている。
そうだと判っているのに俺はむすっとした。
とても面白くない風景だった。
「なんてな。ジョークに決まってるだろう」
と、ベッドを囲むカーテンを引き、オヤジは治療を開始する。
「さてと三波君も治療入ったし、あんたもご飯食べてきな」
「うん。先輩、終わった頃またきます」
「ありがとうね、マキ」
俺は治療院を出て、裏口にある玄関へいった。
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