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  [ 風のように遥かに 23 ]
2010-08-18(Wed) 04:25:07
先輩宅前で、目の前にあるインターホンに手を上げるも、
どうしても押すことができず、勇気のない自分に苦笑いした。
インターホンを押す勇気を養うために、
離れたとこのガードレールに座って、まずは深呼吸をする。

改まって逢うのが気まずい。
俺だけじゃなくて先輩もそう思うことだろう。
それに、先輩が自宅にいる確証も皆無だ。
ミナミ先輩にメールで確認しようにも、やっぱり気まずくて、
取り出した携帯をバッグに突っ込んだ。

こうなったら全て諦めてゲーセンにでも繰り出すか、
なんて、そんなことできるはずもなく、
いつまでもダメな俺に溜め息が漏れてしまった。

「‥はあ」
「溜め息つくと幸せ逃げるよ?」

聞きなれた声と、足元に見えた華奢な影。
ゆっくりと顔を上げると、いつもの笑顔のミナミ先輩がいた。

「ミナミ‥先輩‥」
「ん、何?」

先輩が大きな花束を抱えて、隣に座る。
そうだ、去年と同じ花束だ。
これをプレゼントしに出発するところだったのか。

「どうして俺に声かけたんすか?」
「どうしてだろうね。たまたまかな」
「たまたまですか」
「ウソだよ。マキがきてると思って探したんだから」

疲れた顔して、微笑む先輩。
きっと、タツ先輩から連絡がきて、
俺のことをあちこち探してくれたんだろう。
顔やシャツの汗が、それを物語っていた。

「僕の好きな人に逢いたい?」
汗を拭いながら俺に訊ねてくる、ミナミ先輩。

好きな人がいるのは判ったけど、
その人に俺を逢わせて、どうしたいんだろう。
くそ、どういうつもりか確かめてやろうじゃないか。
それでもって宣戦布告もしてやる。

「逢いたい、です」
言うと先輩は立って、白い大きな花束を抱え直した。

「じゃあ行こうか」
「はいっす」

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昨日、たくさんの拍手頂戴しました。感涙(。´Д⊂)
ありがとうございます♪
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