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  [ 風のように遥かに 28 ]
2010-08-21(Sat) 05:00:58
歩きながらこれからどうするのかを訊ねると、
一旦は帰宅してそれから午後にお墓参りにいくという。
ついて行きたいと言うと、先輩はもちろんと了解してくれた。
帰り際、いつものコンビニへ寄りたいとのことで、
そこで買ったソーダとメロンのアイスを見せる、先輩。
「どっち食べたい?」

アイスよりも俺は先輩を食べたいっす、
なんてのは、喉に流し込む。

「残ったほうをもらうんでお先にどうぞ」
そう言うと、先輩はメロンを選択し、
ガードレールに座りながら、2人でアイスを頬張った。

ソーダを食べ終わっても、メロンは半分残っている。
アイスを舐める先輩を可愛いと思いながら、小さく笑った。

「マキって食べるの早いよね」
と言いながら下からアイスを舐める、ミナミ先輩。

やらしく動く舌がいやでも目に入ってくる。
時々、はあっと疲れたようにつく息も、気のせいか色っぽい。
そんな先輩はアイスを一口残して、俺を見て笑う。
「アイスが溶けたらまた舐めてくれる?」

先輩と目が合う。

胸がどくんと跳ねた。

「残念。そうなる前に食べちゃった」
どきどきした俺を置き去りにして、
先輩は最後の一口を、ぱくりと食べてしまった。

「わざとですよね」
「どうだろうね」
俺が銜えていたアイスの棒を取り、先輩はごみ箱へ向かう。
気のせいか足取りが軽かった。

たぶん、先輩は、俺をからかって楽しんでいる。
からかわれていることが俺には嬉しくてたまらなかった。

つい昨日まで、目を合わせず口も利かずで、
かなりギスギスしていた、俺達の関係。
もうそれは終わったんだと思っていいのかな。

俺、先輩とちゃんと両思いなんだよな。

思っても実感が湧かなくて、
笑顔で戻ってくる先輩を見つめていると、
ごろごろという唸りが空から聞こえてきた。
風が強く、重たそうな雲がこっちへ流れてくる。

「さあ行こう、僕の家に」
立ち上がるように手を伸ばしてきた、ミナミ先輩。

その時だった。

いきなり雨が降ってきた。

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