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  [ 風のように遥かに 29 ]
2010-08-21(Sat) 10:45:23
「わあ。マキ、早く行こ!」
先輩が俺の手首を掴む。
逆に引っ張り、腕の中へと先輩を招き入れた。
「‥っ」
耳元で先輩が息を飲んだ声が聞こえる。

平日昼間、それもこんな豪雨の最中だというのに、
先輩とちゃんと両思いなったのか、
確かめずにいられなくなってしまったバカな俺。

粉砕覚悟の初告白は、
バカなこと言ってないでもう帰りなよ、
とはぐらかされ惨めになった。

ついさっきの、2度目の告白は、
先輩が驚いているとおばさんが部屋に戻ってきて、
結局、うんともすんとも返事がもらえなかった。

正真正銘、これが3度目の正直ってやつだ。

「俺、先輩のことが大好きです!」
ぎゅっと細い体を抱き締める。
先輩は、腕の中で、じっと動かずにいた。

「離れません!傍にいます!絶対!
 だから、先輩も、ずっと傍にいて下さい!」

大きな雨音に負けない声量で、俺は叫ぶ。
恥ずかしさより先輩へ伝えることだけに必死で、
どこに誰がいようと構わなかった。

先輩が体を離し、両手で顔を包む。
「僕もマキが好きだよ」

ずっと心待ちにしていた一言に、
心の底が、じわりと温かくなった。
俺はもうどうなってもいいとさえ思った。

「ずっと傍にいるね」
「はいっす」
先輩の笑顔が、俺の固まった体を溶かす。
そして、手を繋いで先輩は歩き出した。

「じゃあ僕の家に行こう」

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やっと両思いになれました。ぜえぜえ。
それにしても、人目をはばからない恥ずかしい2人でございます‥。
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