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  [ 風のように遥かに 36 ]
2010-08-27(Fri) 14:25:23
ミナミ先輩は躊躇しないで、すぐ応対した。
「はい、三波です。はい、お陰様で。ありがとうございます。
 そうさせてもらいます。えと、はい」
タツ先輩から、と先輩は俺に携帯を渡す。
緊張した面持ちで、息を吐いて携帯を受け取った。
「はい、仁志です」
「三波とちゃんと仲直りしたな?」
「はい。すみませんでした。
 明日は約束通り、練習メニュー2倍やります」

先輩が、横で聞きながら目を大きくさせた。
あ、そうか、タツ先輩とそういう約束していたこと、
考えてみれば言ってなかった。

どうやら話の内容が気になるのか、ミナミ先輩は、
俺に抱きついて反対側から携帯に耳を当てた。
ああ、もう、この密着感たまらないく気持ちいい、
なんて興奮している場合ではない。

「あれはもう気にしなくていい。
 明日からまた頑張ってくれ。いいな」
「はいっす」
「これは内緒なんだがマキや三波がいないと、
 寂しさからかリュウが構ってモードになるのだ。
 正直、かなり鬱陶しくて練習ができん」

構ってモードって何だ。

あのリュウ先輩が、あのタツ先輩に、
そうなるとは到底思えないけど。

判らないけどこの場はとりあえず謝っておこう。

「すみません」
「まあいい。それから部活中は公私混同しないように。
 練習は練習、恋愛は恋愛、しっかり区分しておけよ」

ミナミ先輩との関係がばれてる、と察して青ざめた。
どうしよう、これってやばいんじゃないか。
タツ先輩が言いふらすことは考えられないけど、
万が一、噂なんかが流れたら、と思ったら怖くなった。

「は‥はい‥」
俺の返事の声、きっと震えている。

隣の先輩が俺の様子に、くくくっと笑っていた。
いや、他人事じゃないんですけどミナミ先輩。

「それじゃあ、また明日」
返事を待たずに携帯が切れた。

俺の顔からだらだらとイヤな汗が流れる。
「時継さん、どうしよう、
 俺達のことタツ先輩にばれてる」

先輩は、俺に抱きついたまま唇を重ねてきて、
えへへと無邪気に微笑んでいた。
「ごめん。僕がつい喋っちゃった」

ごめんと言いつつ、悪びれた様子は無かった。
それよりも、喋った先輩に驚いた。
「え?マジ?いつ?」
「天清が呼び出された次の日だったかな」

タツ先輩とリュウ先輩は、
やはりミナミ先輩に相談の相手になってもらおうと、
例のファーストフードに呼び、俺のことを喋ったらしい。
そこで、隠しきれないと思ったらしく、
マキの好きな人って僕です、とはっきり言ったとのこと。

「それってまずくない?」
「あの2人だから、僕だって言えたんだよ」
「それって‥どういう‥」
「ここまで言ってもまだ判らない?」

あ、と思った。
それが顔に出たのか、先輩は笑って頷いた。

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「はい、三波です」
「俺だ。マキとは仲直りしたのか?」
「はい、お陰様で。ありがとうございます」
「そうか。それならいい。今日はしっかり休息をとって、
 2人共、明日からまた頑張ってくれ」
「そうさせてもらいます」
「マキに代わってくれ」
「えと、はい」

ミナミ先輩とタツ先輩、こんな会話でした。
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