BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ その雪景色窓辺より 3 ]
2010-09-09(Thu) 16:00:10
ペンション前に車を停めてバッグを手に宿に入ると、
いつものように、玄関口でおばさんが出迎えてくれた。
簡単に挨拶し、いつもお願いしているコーヒーを頼んで、
鍵で宿泊する部屋に入る。
窓辺からの雪景色を堪能しながら、タバコを1本吸った。
1日で3回もしたチェーン交換の疲労が、
じわりじわりと今になって襲ってくるではないか。
いや、俺はそんなのに負けはしない。

ウェアに着替えて食堂へいくと、すでに彼が座っており、
カウンターでいい香りのするコーヒーを飲んでいる。
ゴーグルのためにコンタクトにしたのか、
シルバーフレームのメガネはかけていなかった。

メガネのない顔もまたよく、これも目に焼き付ける。
俺の保存ファイルが彼で満杯になりそうだ。
頭のどこかにメモリカードを入れられたらいいのに。

「お先に頂いてます」
「どうぞどうぞ。まだたくさんありますので」
なんて言いながらにかっと笑うと、
彼と、コーヒーを淹れてくれた当のおばさんは笑った。

上はオレンジ、下はグレー、というウェアを着ている彼。
太陽のようなオレンジが似合っている。
その彼の隣に座ると、おばさんは俺にコーヒーを出し、
静かにカウンターを後にした。

「ここ、朝からコーヒー頼めるんですね」
「利用するようになってもう7年目なんですけど、
 俺いつもコーヒー飲んでから滑ってるんですよ」

7年、という歳月に彼が感心する。
すると改まって、俺を見ながら頭を下げた。

「申し遅れました。僕、青柳と申します」
「俺は赤石です。赤石紘人。28歳です」
「え、僕と同い年?てっきり僕より下かと思いました」
「いやいや、そちらの方が年下に見られるでしょう」

年下に見られても年上に見られても、
そんなに子供でもないし、そんなに老けてもいない、
という複雑な心境になる、28歳だ。

「それなら敬語やめていい?」
「そうだね」
青柳は、にこりと笑って頷いた。

しかし、まさか同い年だったとは。
永遠にフレッシャーズでも通用しそうなほど、
青柳の童顔は、なかなかの高レベルだ。

「ところで、青柳って名前何?」
「‥一葉」
躊躇いながら口にした名前。

へえ、青柳らしい可愛らしい名前じゃん、
と思いながらコーヒーを飲む。

ふと、同じような名前をどこかで聞いたことがあり、
それを思い出そうと、タバコを吸った。
すると、頭がタバコで冴えたのか、やっと思い出せた。
青柳四葉、という有名カメラマンの存在を。

最近、ニュースや雑誌で注目されている。
モデルの撮影がメインで、最近なら風景から、
アーティストのPVも手がけているとか何とか。
そして噂によると、かなりベビーフェイスらしい。

ここまで名前が一緒なんだから青柳の兄弟だろう。
しかし、青柳自身、あまりそれには触れたくないのか、
名前の話題が、そこでストップした。

まあ、話したくないことくらい誰にだってあるし、
それをこじ開けたがるほど俺はバカじゃない。

そんな雑談を終了させて、コーヒーを飲み干してから、
滑りに行こうと誘った。

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COMMENT

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拍手を下さったR様

こんにちは!コメントありがとうございます!
早速、紘人を気に入って頂けて嬉しいです。
スマートな人物になるよう心掛けているので、
それが伝わっているようで安心しました(´▽`)
実は私、以前はリーマン物好きではなく(笑)
でも高校生だと、色々とどうしても限界があり、
それもちょっとつまらないなあ、と思い始めたのと、
とあるBLブログ様のリーマン物にはまってしまい、
書いてみよう!と思い立ちました。
青い空と風遥は、以前のサイトのものを書き直したので、
案外さくさくと掲載できたのですが、
今回の物語は、全くのゼロから書いているので、
書いている本人がドキドキしております(;≧∇≦)

文才なんてないですよ本当に(ノ_-。)
どう書いたら判りやすく伝わるかな、と考えながら、
キャラに適当に行動してもらっております(^o^)/
どこかに文才落ちていませんかね‥キョロ(゚.゚*)(*゚.゚)キョロ
もし落ちていたら水色まで持ってきて頂けませんか(笑)

こちらこそ、いつもお読み頂きありがとうございます。
R様のお気持ち、とても嬉しいです(*'-'*)
まだまだ書きたいお話がありますので、
お付き合いのほど宜しくお願いしますm(o・ω・o)m
b y 水色 | 2010.09.10(08:28) | URL | [EDIT] |

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