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  [ その雪景色窓辺より 6 ]
2010-09-13(Mon) 07:00:45
脱水症状にならないよう水分補給をしながら、
3階の談話室で、青柳とオセロ対決をした。
負けたほうが脱ぐ、というルールを設けていたら、
青柳はとっくに全裸になってるだろう。
そんな空想の未来を想像しながら、俺はふっと笑った。
談話室には、テレビにマンガ、それと映画のDVDに、
レトロなボードゲームがいくつかある。
宿泊客は、どれも好きに使って遊んでいい。

オセロの一戦がちょうど終了し、
悔しがる青柳を眺めつつ、短いタバコを灰皿に揉んでいると、
おばさんに声をかけられた。
夕食の用意ができたとのことでオセロを片付け食堂へいく。

食堂には家族連れが2組いた。
今日の宿泊客は、これで全部みたいだ。

おばさんに頼み青柳と同じテーブルにしてもらい、
俺達は、ビールを飲みながらごはんを食べた。
ここの料理はマジで美味い。
常連のきっかけになった要素でもあるほどに。

「やっぱり美味しいや」
青柳も、笑みを浮かべる。

満腹になって食休みし、残ったビールを飲みながら、
タバコを取ろうとしてふと止まる。
どちらの家族連れにもいる、幼児の存在を、
俺らしくないことにすっかり忘れていた。

食後の一服は格別に美味い。
だけど、マナー内で吸うから、タバコが美味くもある。
というのが、持論。

胸ポケット前でやり場をなくした手は、
さりげなく顎を撫でてテーブルの上に戻した。

「赤石、優しいね」
ビールを飲み干して、青柳が微笑む。

「何が?」
「小さい子いるから、タバコやめたんでしょ?」
「まさか。なんかそういう気分じゃなくなっただけ。
 俺そんなに気なんて利かないから」

手を振りながら俺は答えた。
単純に、個人のマナーの問題というだけなのに、
優しいと言われると、困るというか照れる。

すると、青柳は可愛らしい笑顔を満開にした。
「気が利かなかったら俺を助けてくれるはずないよ」

それはたまたま青柳がタイプだったからだ。
仲良くなれるかもという下心がちょっとあった自分が、
とても恥ずかくて、思わず顔を赤くした。

「だから、そういうんじゃないから」
そんな青柳の高評価を否定したくて、
ぶんぶんと手を振りまくる。

謙遜なんかしないで堂々としたらいいのに、
とでも言いたげな、笑顔の青柳は、
イスから立ち上がると、自分の部屋を指差した。

「よかったら僕の部屋で飲もうよ。
 買ってきたビールあるしタバコ吸えるだろう?」

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