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  [ その雪景色窓辺より 10 ]
2010-09-17(Fri) 05:00:11
遮光ではないカーテンからの日差しで、ふと目が覚めた。
横にいるカズはまだ寝ている。
ぼーっとしている頭を覚ましつつカズの髪を撫で、
寝顔をしばらく堪能していると、暫くしてカズも起きた。
体を伸ばしてから目を擦り、カズは俺にこう言った。
「おはよう、赤石」

改めて苗字で呼ばれ、
あれを無かったことにしたいんだと悟った。
まあ、それもありだろう。
失恋の傷心を、僅かでも癒せたなら構わない。

「おはよ」
言うとカズは笑った。
これでいいんだ、と自分を諭しながら笑顔を返す。

俺は部屋へ戻り、支度を済ませ朝食を取った。
スキー場は各自乗用車で向かった。
カズは明日早朝出勤らしく、昼には帰るらしい。
昼食中に、番号とメールアドレスを交換した。

「また会おうよ、絶対」
偽りのないカズの笑顔が忘れられなかった。

だけど、カズから連絡がくることはなく、
1週間後にメールをしたら宛先不明となってしまい、
こっちから携帯に電話をかけたら、
使われていないというアナウンスが流れた。

こりゃあ終わったな、と思って諦めた。

俺もちょっとやりすぎた面があったけど、
チェーン貸したままで、このままフェードアウトか。
そういうタイプには見えなかったんだけどな。

あんな出会いなんて滅多にない。
夢か幻か、はたまた妄想だと未練への決着をつけるか。

いずれにしろ、俺はまた普段の生活を過ごすのだった。

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