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  [ その雪景色窓辺より 14 ]
2010-09-19(Sun) 05:25:09
夜間パトロールの仕事は、それなりにハードだ。
まずは、暗闇に対する耐性を要する。
それから、連続して車中泊できる体力もいる。
夜中と早朝、会社と契約している店舗や学校を、
肝試しのごとく懐中電灯のみで確認をしにいく。
かたん、なんて音がどこからか聞こえれば、
びっくりどころではなく、真夏でも体感温度は北極並だ。

異常等がなければ車内待機かセンター待機、
もしくは、ノブさんか他の管制員の許可が下りれば、
自宅待機、となっている。

最近、とある店舗の発報異常が頻繁にあり、
ずっと車内待機だった。
車内待機は、満足に横になれず仮眠は取れないし、
発報があったら急行するしで、かなりきつい。
カズと一緒に仕事ができる、なんて浮かれてられない。

俺はそんなもの慣れっこだけど、
やっぱりカズにはきつかったみたいで、
1日目と2日目は、それなりに2人で会話していたけど、
3日目、カズは目をぼーっとさせることが多かった。

4日目、やっと工事部がセンサー交換をして、
ようやく異常の発生がなくなる。
ったく、ちんたらしてないで、とっとと交換しろっての。
これだから工事部には苦情がいくんだよ。

5日目、研修最終日。
夜中の巡回が一通り終了し、パト車に戻ると、
ノブさんから無線がはいった。
「お疲れ。今日はもう自宅でいいぞ。
 どっちの自宅待機でもいいから定時連絡はしろよ」

体力限界でそろそろ自宅待機させてほしい、
と頼もうと思っていた、そんな矢先の鶴の一声だった。

ここからだと、カズの家のほうが近そうだった。
だけど、カズの近所のパーキングは把握してないし、
だからといって車を適当に置いてはおけない。
カズだけ自宅待機をして、俺はこれまで通り、
車内待機、というパターンがベストでいいだろう。

それを車内で説明すると、
「僕、アパートの駐車場2台借りててさ、
 1台のほうに車止められるから赤石もおいでよ」
と、なんとカズに家へ誘われてしまった。

くたくただった俺は純粋に甘えることにした。
もちろん、カズの自宅に興味はあるけど、
それよりも何よりも、寝転がって仮眠をとりたい、
ただそれだけった。

カズが住むアパートへ行くと、駐車場にはカズの乗用車と、
隣にはシートのかけられたビックスクーターが停まっていた。
細腕のカズがエンジンを回さずにビクスクを移動し、
そこに車を停める。

車のエンジンを切ってしまう前に、ノブさんに無線をいれた。
自宅待機前は、こうやって管制員に連絡すればいいから、
とカズに研修らしく一言添えておく。

「こっちだよ」
カズについていくと、1階の端にある部屋で止まった。
どうやら、ここがカズの家みたいだ。
「あんまり片付いてないから覚悟してね」

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