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  [ その雪景色窓辺より 22 ]
2010-09-28(Tue) 10:10:31
心臓が高鳴る。
何を言われるか俺は判っていた。

「まだ酔わない?」
こっち向いてよ、と都合の良すぎる副音声が聞こえる。

静かに振り向くと、カズは真顔だった。
「カズは?」
「僕がヒロに聞いてるの」

生ビール4杯、缶ビール2本、缶カクテル3本、
まだまだ酔うレベルに達していない。
これまでに俺と何度か一緒に飲んでいるカズは、
聞かなくてもそんなの判りきっているはずだ。

でも。

「ん、少しだけ酔ったかも」
そう言わざるを得なかった。

カズが俺を求めている。
俺も、求めていないと言えば嘘になるから。

期待と緊張が、掴まれた手首から流れてくる。
それを感じながら訊ねた。

「する?」
「うん」
カズの答えを聞いて、また心臓が高鳴った。

もしかして俺を好きになってくれた、
なんてのは自信過剰すぎるか。

いや、きっと、単なる好奇心か遊びだ。
遊びだったらここで止めたほうがいい。
曖昧にせずボーダーラインを明確にしないとだめだ。
そうしないと、カズをこっちに引き込んでしまう。

だけど、そんな気持ちとは裏腹に、
カズの肌に触れたいと思う俺もいた。

こっちに引き込んじまうぞ、カズ。

そう心の中で呟いて、俺はタバコを消した。

「ロフト行こうか」
「うん」

先にカズをロフトへ上がらせ、
ペットボトルの水や酒をコンビニ袋に入れてから、
シーリングライトのスイッチをオフにする。

ロフトを見上げながら深呼吸をして、
コンビニ袋を手に俺は上がっていった。

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