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  [ その雪景色窓辺より 31 ]
2010-10-07(Thu) 05:30:32
7月の盛夏。
あれからカズとは、少しだけ距離を置いていた。
ナイスタイミング、と言っても良いのか、
仕事でいつも巡回しているコースに、新たな契約先が加わり、
巡回の順番がコースの最初に指定された。
そういうわけで、出勤してすぐパトに出発するようになり、
カズといる時間も必然的に減少していった。

それでも、会話の減りをカズは不審に思ったのだろう。
メールが何回かきた。
それには、当たり障りなく答えた。

あの女とカズがどうなったのかは知らない。
知りたくもないし聞きなくもなかった。

あの後行った、グリーンアイランドで、
誰かナンパしようと思っていたけど、
なぜかカップルばかりで、ナンパはできなかった。

仕方なく飲みながら緑川さんに話をしたら、
それって元上司だろうと断言までされて、
ずがんと銃で撃たれたような止めを食らった。
緑川さんの勘はよく当たると評判だ。

でも、8月にカズとツーリングの約束をしていた。
プランとか俺考えるから、とまで言っておいて、
今からキャンセルするのは俺らしくない。
だからって、ツーリングに行く気が起きてこない。
くそ、こういう自分がうざくて仕方ないっての。

そろそろ、ノブさんあたりにでも、
扶養増えますなんて連絡がカズからきてるかな、
なんて恐ろしいことを考えつつ、
ノブさんのいる日に管制室へ訪れてみた。

「はあ?なんだそれ?」
ノブさんの、最初の一言に、ほっと胸を撫で下ろす。
どうやらカズの扶養連絡はきていないらしい。

「そんな連絡あったら、真っ先にヒロの耳に入れてるよ。
 それよりも青柳と上手くいってないのか?」
「うん、ちょっとね。でも大丈夫だよ。
 トラブらないように気を付けているから。
 仕事は平気、そっちには差し支えない」

いつもの回るイスに座りながら、
管制のモニターを操作するノブさんの背中を、
ぼんやり眺めていた。
今日の管制は、トラブルもなくまったりしている。

すると、手を止めたノブさんが俺を見た。
「それなら、別のセンターに行くか?」

うちの会社はあちこちに支社やセンターがある。
だからといって頻繁に異動があるわけではないけど、
カズと同じセンターにいるのはやっぱり辛いから、
そうしてもらえるとありがたい。

それなら、ついでに巡回じゃなくて管制やりたい、
とも付け加えて、センター長に俺を推してもらえるよう、
ノブさんに頼んでおく。

残念がる俺と、安心する俺が、
心の中でぐちゃぐちゃに混ざり合っていた。

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