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  [ その雪景色窓辺より 32 ]
2010-10-08(Fri) 03:30:15
ノブさんがカズに漏らしたんだろう。
パトロールの最中にカズから電話がかかってきた。
「僕、ヒロに何かした?」
初めから口調が怒っている。

「してないよ」
「それなら、どうして僕を避けてるの?
 別のセンターに行きたいって、おかしいし」
「カズには関係ないから」
言うとカズは黙った。

沈黙する中でカズの息遣いが聞こえる。
心に残るくらいそれに耳を傾けてから、俺はカズに言った。

「だから、カズに何かあっても、こっちに関係はない。
 そうだろ?どこか間違ってる?」
「‥やっぱりいたんだね、ヒロ」

カズの呟きに、どきりとした。

あの場に俺がいたのをカズは既に知っていた。
それでも、元上司が妊娠しカズに復縁を懇願した、
という事態に何も変更はない。

「だから?」
冷たく言うと、カズは通話を終了させた。

これで、俺とカズは終わった。
いや、始まっていないのに終わったもないか。

すごろくで、スタート地でサイコロを振ったら、
進んだ先のマス目が、ふりだしに戻るだった、
という何とも虚しい感じがした。

これでいい、これでいいんだ。
あとは異動先が決定すれば、パーフェクトだ。

巡回が終了し、車に戻ってタバコを口に銜えると、
またカズから電話がかかってきた。
にやける自分に立腹しながらも、
仕事に関連する電話の可能性もあり、俺は携帯に出た。

「来週、ちょっと僕に付き合って」
黄島さんにシフト調節してもらったから、
と詳しい日時を言った。

「バイクで迎えにいくから。
 家にいなくてもずっと待たせてもらうよ」
カズなら本気でやりかねない発言に、
判った、とだけ言った。

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