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  [ その雪景色窓辺より 36 ]
2010-10-11(Mon) 04:00:40
「あ‥っ」
両思いになって安心している場合ではなく、
俺はカズに断って、ノブさんに電話をかけた。
異動の一件を、キャンセルするために。
すると、ノブさんに笑われながらこう言われた。
「センター長にヒロを推したらさ、
 ふざけんなって一蹴されちまったよ」

ほっとしつつ、いくらセンター長でもそれはひどい、
と頬を膨らませるとノブさんが付け足した。

「センター長的には将来、青柳を室長、
 ヒロをパトロールの隊長にさせたいんだってさ」
「そしたらノブさんは?どうなるの?」
「ここか、もしくは別のセンターで、
 センター長をやらせる気らしいけど、よく判らん」

確かにノブさんは頭いいし、人望厚いし統括力もあり、
今のセンター長よりも、かなり仕事ができる。
だけど、別センターに移っちゃったら寂しくなるな。

それを読んだかのようにノブさんが言った。
「って言ってもまだ先のことだからな」

寂しくなった自分が恥ずかしくなり、
あっそ、とわざと愛想ない返事をしておく。
やっぱりノブさんのバックアップがあるからこそ、
俺はこの仕事を続けられる。
ノブさんがいなかったら、とっくに辞めていると思うし。

電話を切ってからカズに内容を伝えると、
安心したのかほっと微笑んだ。
「よかった、ヒロがどこにも行かなくて」

それから、コーヒーをおかわりし、
カズとノブさんで、どんなやりとりがあったのか、
という話題になった。

俺がカズの扶養のことを訊ねてすぐに、
ノブさんはカズへ連絡をとったらしい。
カズには聞かないでおいてよって言ったのに、
ノブさんは意外と口軽みたいだ。
まあ、それくらい俺達のこと心配だったんだろうけど。

心当たりのないカズはそれを否定した。
ここでようやくピンときて、カズの勘が働いた。

やっぱりあの日にヒロは家にきたけど、
みっちゃんのことを、たぶん元上司だと勘違いした。
だから、急に僕のことを避け始めたのかな、と。

そして、誤解を解くために本人に話をさせよう、
とカズなりに考え今日に至るというわけだ。
「本当にごめん」
「もういいよ。こっちも悪かったから。
 でも何かあったら抱えないで僕にちゃんと話してよね」

コーヒーを飲み終わると、カズは小さく呟いた。
「それより、これからうちにこない?」

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