BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ その雪景色窓辺より 40(完) ]
2010-10-15(Fri) 05:35:23
目を覚ますとカズがまだ隣で寝ていた。
前にもこんな光景を見たことあるな、
と思いながらぼんやりとカズを眺める。
昨夜は、カズとシャワーを浴びてからすぐに寝た。
寝る前にベッドで手を繋いで、
互いの温もりを互いに分けながら、静かに眠った。

カズの髪をいじりながら笑っていると、
その目がふっと開いた。
起きたばかりで焦点が定まっていない。
やがて俺を捉えて、カズは微笑んだ。

「ん、ヒロおはよう」
「おはよ」
ちゅ、と音を立ててカズの額に軽くキスをすると、
カズは額を撫でながら照れ笑いをした。

すると、カズが俺に抱き付いてきた。
「ヒロ温かい。それにいい匂いがする」
「え?タバコ臭いかな?」
「だから、それもヒロの匂いのうちでしょ」

昨夜と似たような会話を交わしながら、
俺の首に鼻を寄せ、くんくんと鼻を鳴らすカズ。
掠める息にむず痒さを感じて、
体を捩じらせながら体と足をばたつかせた。

「ちょ、あはは、くすぐったいって」
「‥ヒロの弱点見つけた」
「あはは、頼むからもう許してくれ。あはははっ」
にやりと笑うカズが俺をくすぐる。
俺はうつ伏せになり、カズの攻撃を回避した。

「俺よりもカズのがいい匂いだって。
 あの香りが特にいい、合コンの時のやつ」
「あれはね、女性除けの香水だよ」

俺の背中を抱き、そこへキスをしてきたカズ。
その熱にまどろみながら訊ねた。

「そんなのあるんだ?」
「うん。甘ったるくておかしな香りだったでしょ」

専門店で、この香水は女性に不人気です、
と教えられたものを買って合コンでつけたらしい。
どうしてそんなことをするのか、とカズに訊ねたら、
告白されても面倒だからと返答された。

たぶん、カズのことだからもてるだろうし、
これまでの経験でそういう対策をしたんだろう、
と、勝手に想像する。
それにしても、カズは意外と策士である。

と、隙を狙ってカズを押し倒してやり、
今度は、こっちがカズをくすぐってやった。
「ヒロくすぐったい、あはは、もう勘弁してっ」
「だめ。さっきの仕返ししてやる」

調子に乗ってカズの脇腹に指でくすぐると、
カズは耐え切れなかったらしく枕で叩いてきた。
軽く叩かれただけなのによっぽど枕が古かったのか、
ぱふ、という音と共に綿が舞った。

カズを初めて見た時の雪のように。

カズに告白した時の雪のように。

枕の綿が、白い雪のように舞い降りてくる。

同じことを思っていたのか、
それを浴びながら、俺とカズは笑った。

「ごめん、これ弁償する」
「ん、じゃあ大きいのが欲しいな。
 ヒロと使えるくらい大きいやつ」
カズが手を広げて、大きさを示す。
それは、俺の家で使っている枕と同じ大きさだった。

「うちにあるのじゃ、だめ?」
「え?」
「ほら、うちに大きい枕あるじゃん」

カズの頭にはハテナが浮かんでいる。
そうじゃなくて僕がほしいって言ってるんだけど、
というカズに、真っ赤になって俺は言った。

「俺と暮らそ?」

瞬間、カズの目が大きくなった。
そして、何か言おうとゆっくりと口が開く。
すかさずキスをして、カズの言葉を遮断すると、
顔を離して早口で捲し立てた。

「いきなり驚くようなこと言ってごめん。
 俺、その、特に考えなしに急に思いついたんだ。
 でもノーだからって別れるとかじゃなくて、
 やっぱりお互いのプライベートは保ちたいなとか、
 そういう意見の食い違いも色々あるだろうし、
 出会ってやっと半年たったから、
 もうちょい様子見てからにし‥もがっ」

俺の口を手で塞ぎ、カズが困り顔で溜め息をつく。
そこで改めて、テンパっていた俺が恥ずかしくなった。

前置きもなくいきなりこんな発言をされたら、
カズじゃなくても困惑するし即答できるはずもない。
現に、カズは困ったように笑っている。

考えなしに発言した勝手な独りよがり。
それを詫びようと、口を塞いでいるカズの手を取った。

すると、真っ赤になったカズが唇を重ねてきて、
軽く首をふるふると横に振る。
そして、雪のような綿がふわふわと舞っている中、
カズは嬉しそうに呟いた。

「もちろん、僕でいいなら喜んで」

前話へ

その雪景色窓辺より、これにて終了となります。
ここまでお付き合い頂きまして、
本当に本当にありがとうございましたm(_ _)m

実はこのお話、たくさんの初めてがあります。
初リーマン、初リバ、初同い年(長編限定)
あまりスーツ姿が出てこなくてすみません。
これをリーマンものと言っていいのか悩むところです。
リバは、まあどっちも受け受けしいということで(苦笑)
そして意外に同年齢な2人でした。

コメントや拍手にいつも元気付けられて、
ここまでヒロとカズのお話を書くことができました。
それとランキングも、皆様のご協力で、
∑(゚ω゚ノ)ノ と驚くような順位を頂いています。
どれもこれも、ありがとうございます。

さて、ここまでお読み頂きました皆様へ、
感謝を込めてボーナストラックを用意させて頂きました。
目次には表示する予定のない、内緒の物語です。
ここまでお読み頂いた方であればご存知であろう、
某キャラも登場します(笑)
エロはありませんが下記よりどうぞ♪


その雪景色窓辺より ボーナストラック
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COMMENT

  +
こんにちは。
祝ヽ(´▽`)/完結。お疲れ様でした。
毎日読みに来てました。
ハラハラしながら(笑)
あのお姉さんの誤解のシーンなんか特に。
面白かったです。(^0^)
ではまた読みに来ますね。
b y 佐久トモ | 2010.10.15(10:22) | URL | [EDIT] |
  +
佐久トモ様

あわわわわ!こここんにちは!(ド緊張)
コメントありがとうございます!
毎日読みにきて下さっていたとか∑(゚ω゚ノ)ノ
拙いブログをご贔屓にして頂いて感謝でいっぱいです。
本当にありがとうございますm(T▽T)m

実は、皆様をハラハラさせるのが目的でしたので、
ハラハラして頂けて嬉しいです♪
よくありがちなオチではございましたが‥(^^;)
誤解のシーンでは姉登場で、
キレかけていたヒロも唖然となっていたハズです(笑)
そんなヒロもお楽しみ頂けたらと思います♪

面白かっただなんてもったいないお言葉!(ノД`)
今度もそう言って頂けるよう頑張ります。
毎日の更新はできなくなりましたが、
またフラリとお立ち寄りください(*´∀`*)
b y 水色 | 2010.10.16(04:57) | URL | [EDIT] |
このコメントは管理人のみ閲覧できます
b y | 2010.10.17(16:11) | | [EDIT] |
  +
M様

こんにちは!コメントありがとうございます!
出遅れも何も、お忙しい中コメント頂けて本当に感謝ですm(_ _)m
こちらこそ雪景色お読み頂きありがとうございました♪

今日から始めた番外は、また雪景色になります。
本編に入れられなかった「警備という仕事」について
ちょっと掘り下げて書こうと思っております。
番外終了後の長編では、このブログらしからぬ、
ちょっとドロドロしたお話にしようと思っておりますので、
お時間のある時にお付き合い頂ければ嬉しいです(´▽`)

うわあ!そんな偶然があったのですか!
確かにヒロとカズは、名前としては多いかもしれませんが、
でもそこまでM様の周りでシンクロすると驚きますね(≧∇≦)
私の周りはヒロはいますが、カズという人はいないですね。
というよりは苗字しか知らない人が結構いるので、
今度こっそり探してみようかと思います(*´艸`)
いえいえいえ!全然迷惑なんかじゃないですから!
また面白いことあったらぜひ教えて下さいヽ(・∀・)ノ

あ、残念ながら私はエスパーではなく、普通の腐女子です(笑)
と言いましても、女子という年齢ですらありませんが‥(ノд`)

毎日更新できる時間がなくなってしまいましたが、
今のところまだネタは尽きませんので、
まだまだお付き合い頂ければ幸いです♪
宜しければまたブログへ遊びにいらして下さい(*^∇^*)
b y 水色 | 2010.10.18(05:08) | URL | [EDIT] |

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