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  [ 星が刻んだ未来さえ 8 ]
2010-11-19(Fri) 05:45:02
ベッドで目が覚めると、鬼塚さんが見当たらなかった。
シャツに下着をつけ、隣の受付を覗く。
鬼塚さんがパンとコーヒーで朝食をとっていた。
「おはよ」
「おはようございます」
「シャワー浴びてきなよ。俺はもう浴びたから」
「はい」

その格好のままで風呂へいき、
シャワーを浴びてバスタオルで拭く。
タオルが少しも湿っていなかった。
たぶん、鬼塚さんの使用済みは洗濯でもして、
俺用にとタオルを交換してくれたんだろう。

さっぱりして戻ると鬼塚さんに袋をもらった。
「何ですか?」
「パンとコーヒー。買ってきたから食べなよ」
「あ、それなら今払います」
「いいって、これくらい。俺の奢り」

鬼塚さんは微笑んだ。
優しい雰囲気に癒される。

「はい。じゃあ頂きます」
デスクに袋を置いて、隣室でとりあえず着替えをし、
それから戻ってパンを食べた。

鬼塚さんは、缶コーヒーをずずっと啜りながら、
シフトを確認しつつサイトの操作をしている。
どうやら出勤者の欄を更新中のようだ。
それを眺めながら、もらったものを食べ終えた。

「ご馳走様でした」
「こちらこそ。今度は3日後に出勤?」
「はい。大学の講義が、ちょっと詰まってて」
「そっか。まあマイトは大学生だもんな。
 バイトもいいけど学業もしっかりやっとけよ。
 こんなふうにならないようにさ」

自分を指差し、鬼塚さんは大笑いした。
どういう顔をすべきか迷い、
とりあえず笑みを浮かべながら、
こんなふうって何ですかとでも言うように、
小首を傾げて見せた。

そうやって自虐ネタを披露しているけど、
鬼塚さんが某優秀大学の出身なんだと、
バイト仲間からとっくに小耳にしている。
優秀なのにどうしてこんな仕事を、とは思うが、
人にはそれぞれ事情があるから訊ねはしない。

「どう?バイト続けられそう?」
「まあ何とか」
「初めてにしてはいい感じだよ。できれば続けてね」
「ええ、できれば」

いつでも辞めようと思って、バイトを始めた。
それを見透かされたような台詞に、そう返答する。

時間は10時、そろそろ出発しないと。
「じゃあ、いってきます」

玄関へむかうと鬼塚さんがついてきた。
靴を履く俺を、背後からじっと見守っている。

「いいですよ見送りしなくて」
「まあまあ、そんなこと言わないで」
と、頬にちゅっとキスを受けた。

「また3日後な」
「はい」
「いってらっしゃい」
「いってきます」

そうして、俺はマンションを出た。

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やっとR表記脱出(笑)

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