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  [ 星が刻んだ未来さえ 12 ]
2010-11-26(Fri) 06:00:03
3日後、俺はまたバイトに来ていた。
夕方に出勤して指名が2度あり、
あと1時間もすればバイトは終了する。
そんな頃に指名が入った。
「180分なんだけど大丈夫そう?」
茶室の電話で、鬼塚さんにそう質問された。

今から3時間も入ると、間違いなく終電がない。
けれど明日は大学の講義はなく、
漫喫で仮眠か、もしくは軽く飲み歩いてから、
始発に乗っての帰宅を考える。

ただ、1つだけ気がかりがあった。
こんな時間に3時間も指名するのは、
あの人だけ。

「‥菅生さん、ですか?」
そうだとしたら、断ってすぐに帰りたい。
菅生さん以外なら、割り切って受け入れよう。

「いや、新規の人」
「それなら構いません。いきます」
新規で3時間は、かなり珍しい。
どんな人なんだろうかと思いはせながら、
ホテル名とルームナンバーを聞いた。

向かいながら郁央にメールを送る。
遅くなる時は、とりあえず連絡はかかさない。
例えブラコンと言われようとも、唯一の兄弟だ。
これくらい当然だろう。

それからホテルの扉をノックすると、
青いチタンフレームのメガネをかけた人がいた。

「こんばんは」
初めて耳にする、渋くてハスキーな声。
俺、こういう声好みかも。

うっとり耳を傾けてると、その人は首を傾げた。
「ん?どうしましたか?」
「‥あ、いえ。こんばんは」
慌てて答えて、靴を抜いで部屋の中へ上がる。

置かれてあった靴のでかさに驚きつつ、
改めて並んで立つと、かなり背の高い人だった。
腕を伸ばせば天井に手が届きそうだ。

「すごく背高いですね。
 バスケかバレーでもしていたんですか?」
「いつもそれを聞かれますが何もしてません。
 今も昔も、スポーツは苦手なんです」
困ったように笑われた。

それなら、この身長は遺伝なのか。
ちょっと羨ましいけど、恐らく本人は嫌なんだろう。
背の話題は避け、シャワーに誘った。

ぱぱっと俺が先に脱いでから、声をかけて脱がしていく。
スーツ姿のところを見ると、どうやら仕事帰りらしい。

「ここにくるまで仕事だったんですか?」
「そうです。本社でちょっと会議がありました。
 くたくたに疲れたので癒されたくて」
で、この店にきた、とのこと。

「ここにきたら余計疲れちゃいますよ」
だって、これからセックスするんだから。
言って笑うと、この人も笑った。
「そうですね。言われてみれば確かに」

大きくて温かい手が、俺の顔を包む。
「でも、するしないはどっちでもいいんです。
 少しまったり過ごせたら、それで」

手の温もりにとろんと目を蕩けさせると、
そのまま、キスをされた。
ふっくらとした柔らかい唇が、心地いい。

「では、汗かいたのでシャワー浴びましょうか。
 会議に遅れそうで久々に走ったんです」
こんなに背の高い人が猛ダッシュしたら、
モーゼが紅海でやったように、
海面が割れるかのごとく人々も避けまくるだろう。

そんなシーンを想像したらおかしくなり、
笑顔になりながら風呂へむかった。

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真打登場‥。

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