BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 星が刻んだ未来さえ 22 ]
2010-12-11(Sat) 05:50:20
約束の時間の10分前に到着。
満さんの姿はない。
退屈だったから携帯のテトリスをする。
ブロックが重なりゲームオーバーになった時に、
満さんが傍にきた。
約束の時間、ぴったりだった。
灰色に染まる画面を閉じて、満さんを見る。
スーツも、店でのエプロン姿もいいけど、
私服もなかなか格好いい。
その清楚な姿に俺は見惚れた。

「こんばんは、舞斗君。
 ん?どうかしましたか?」
「あ、いいえ‥こんばんは‥」
素直にルックスを賞賛すればいいのに、
なぜか俺は首を横に振った。

「どこへ飲みに行きますか?
 バーか、それともクラブにでも?」
「そうですね。食べながら飲みましょうか」

言われてみれば確かに、
空の胃にアルコールを注ぎ込むのはきつい。
満さんに頷くと、最近見つけた飲食店があるので、
と言われてそこへ行くことにする。

着いた先は、大人の雰囲気の鍋屋。
中はしっとりとした佇まいをしていた。

店内の中央に、小さな日本庭園が見えた。
ミニサイズだけど、石、竹、砂、松が揃い、
それらを引き立てるライトの色も強さもよく、
どれをとっても立派なのは瞭然だった。

それを眺めていたら満さんと、和服の店員が、
さっさと先に行ってしまい、俺は慌てて後を追う。
満さんの隣につくと、くすりと笑われた。

12畳ある個室へ案内され、
掘りごたつのようなテーブルに座り、
満さんがメニューを広げた。
割り勘でもかなりの額を取られそうだけど、
バイト代があるから払えないこともない。

それでも、平凡な学生が、
入れるような店じゃないのは確かだった。
彰彦と晋平とは、間違っても来店できない。

「舞斗君、どれがいいですか?」
「満さんのリクエストでこの店にきたので、
 オススメのものがあれば、それでお願いします」
それじゃあ、と呟きながら満さんがメニューを選ぶ。

塩もつ鍋のコース料理を3人前に、
満さんの飲むウイスキー、俺は梅酒を頼む。
コースのせいか、オードブル、サラダ、
それからもつ鍋の順で運ばれてきた。

ぐつぐつと煮立ったところで、
満さんがさっととんすいに分けてくれる。
笑みを浮かべ、それを俺に差し出してきた。

「ありがとうございます」
「さあ、熱いうちに食べましょうか」
熱いもつをゆっくりと食べる。

瞬間、満さんのメガネが曇った。
ポケットを探ってから、満さんはおしぼりを手にする。
どうやら、ハンカチを忘れたらしい。

「これ、使って下さい」
俺のハンドタオルを渡した。
おしぼりで拭いたら曇ったのが取れるどころか、
濡れるだろうと思ったからだ。

恥ずかしそうに笑い、それを受け取る満さん。
「すみません、それではお借りします」

外したメガネをハンドタオルで拭く。
俯き加減の顔に、体を重ねたことを思い出して、
どきっとしてしまった。

「どうかされましたか?」
「あの、このもつ鍋美味しいですね」
「そうですね。足りなければもっと頼みますよ。
 だから、たくさん食べましょう」
「そんなに食べられません」
笑いながら言うと、満さんも笑った。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
BL小説星が刻んだ未来さえ | TB:× | CM : 2
星が刻んだ未来さえ 21HOME星が刻んだ未来さえ 23

COMMENT

このコメントは管理人のみ閲覧できます
b y | 2010.12.12(10:15) | | [EDIT] |
  +
K様

こんにちは!またまたコメントありがとうございます♪
そうなんです、やることやっておきながら、
デートは初々しいというちょっとおかしな2人ですが(笑)
ふとした瞬間にその出来事を思い出してどきっとする舞斗が、
ちょっと可愛いかも‥と勝手に思っています(*´ω`*)
満は思い出しても、意外に顔に出ないタイプかな‥とか、
妄想は膨らむばかりです♪

満は優しいですね。ただ優しいだけではなく、
どうしてこういう人格になっていったのか、
それも今後の展開で出てくる予定なので、
意外な展開(?)にびっくりして頂けると嬉しいです(^―^) 

こちらこそ先日コメント頂戴し、とても嬉しかったです。
本当にありがとうございますm(_ _)m
自分の趣味が丸出しのブログではございますが、
やはり読み手の方にどう受け止められているのかも、
やっぱり気になる小心者ですので(´▽`;)
生のお声をお聞きできるのは光栄であり嬉しいことです。
これからも頑張りますので、お付き合いのほど宜しくお願いします♪
b y 水色 | 2010.12.13(06:38) | URL | [EDIT] |

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi