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  [ 星が刻んだ未来さえ 29 ]
2010-12-25(Sat) 05:35:16
借りたバスローブを着てベッドにいくと、
満さんがミネラルウオーターを持ってきてくれた。
「ご希望であれば口移ししますよ?」
「いや、大丈夫です」
口移しからセックスに発展でもされたら、
それこそ体力がもたない。
水を飲み、残りを満さんに渡して横になった。
ラブホの安ベッドよりもマットレスが柔らかい。

「そろそろ休みましょうか」
と、満さんが布団を体にかける。

リモコンで灯りを消してから、
満さんがスタンドのスイッチを入れる。
すると、部屋の天井に、たくさんの星が浮かんだ。
家庭用星空投影機、というやつだ。

「ちょっとしたプラネタリウムです」
「キレイですね」
眺めている俺にキスをする満さん。

部屋を甘ったるい空気が漂っている。
これじゃあ、まるで俺達は恋人みたいだ。

そんなことを思って恥ずかしくなった。
真っ赤になった顔を隠すように、満さんを睨む。
すると、満さんが照れた。
「やだな、そんなに見つめられたら困ります」

いやいや、見つめてるんじゃなくて睨んでるんです。
心で満さんに突っ込みながら、がくりとする。

すると、満さんが腕枕を施してきた。
「少しだけ昔話をして構いませんか?」
「ええ、どうぞ」
満さんが軽めに咳をして、語り出す。

昔、あるところに男の子がいました。
父は医者、母は看護師、長男は医者、次男は薬剤師、
という優秀な一家でした。
三男の男の子も、父の期待に答え、
有名な進学校に入学し、学校ではトップの成績でした。

ある日、テストで悪い点だったのを父に叱られ、
家出をした挙句、グレてしまい学校を中退しました。
そして、そのまま暴走族に仲間入りしました。
男の子は、自分以外の人間全員が、
クズなのだと思いながら過ごしていたのです。

「‥それは満さんの話ですか?」
聞かずにいられず訊ねてしまった。

いや、でも、満さんに限って、
自分以外の人間全員が、クズだと思っていた、
なんてことがあるのだろうか。
現在のこの風貌からは、想像もできない過去だ。

「まあまあ、それは置いといて、
 もうちょっと聞いてもらっていいですか?」
何をどこに置いとくのか判らないが、満さんは続けた。

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