BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 星が刻んだ未来さえ 30 ]
2010-12-26(Sun) 08:20:00
グレてから数年がすぎました。
母が病気で倒れ、それを噂で聞きつけた男の子は、
急いでお見舞いに行きました。
母は、そんな男の子を叱らずに、
好きなように生きるよう伝えました。
同時に、好きなように生きるのは、
敷かれたレールを歩くよりも辛いのだと伝えました。

男の子はここで気が付きました。

本当にクズだったのは自分だったのだと。

男の子は、母の病室で父と再開し、父から謝られ、
そこでようやく父と母からたくさんの愛を感じ、
遅ればせながら再起を計ることにしました。

ただ、最終学歴は高校中退。
大検を取得しようにも時間も金銭もなく、
有資格といえば免許証くらいで、
ドライバー募集の求人の応募しました。
それは、キャバクラのウエイター兼ドライバーでした。

「キャバクラって男も働いているんですね。
 てっきり女の人だけかと俺は思ってました」
「トラブル時は表に出ますが、もっぱら裏方ですよ。
 あとはキャバ嬢の送り迎えをします」

ある日、その仕事ぶりを評価され、
常連客にスカウトされて店長職をやることになりました。
そうして、男の子は、病と戦って見事に打ち勝った母親と、
自分のことを見守ってくれた家族へそのことを報告し、
ようやく過去を清算できたのでした。

「‥終わりですか?」
「はい。終わりです」

言いたいことが判らなくて困っていると、
笑う満さんにこう付け足された。
「人はいつかどこかで変われます。
 君にそのことを伝えたかったんです」

俺もいつか変われるだろうか。
誰かに頼られるばかりではなく、
誰かを頼れるようになるだろうか。

変わったとしても変われなかったとしても、
このバイトに携わっていたことは変えられない。
こんな俺に頼られても誰も嬉しくないし、
きっと迷惑がられる、と思う。

と、考えていたら疲れがマックスに達したのか、
あふっとあくびをした。
「そろそろ寝ましょうか」
「‥ん、はい」

涙が出てきた目を擦って瞼を閉じる。
その瞼に唇を感じて、俺はそのまま眠った。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
BL小説星が刻んだ未来さえ | TB:× | CM : 0
星が刻んだ未来さえ 29HOME星が刻んだ未来さえ 31

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi