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  [ 星が刻んだ未来さえ 31 ]
2010-12-27(Mon) 07:20:45
目が覚めて隣を見ると、満さんの姿がない。
シーツに温もりだけを残しどこかへ行ったようだ。
カーペットに置いていた服もなくなっている。
体を起こしバスローブの前を直していると、
満さんがドアを開けてやってきた。

「おはよう、舞斗君」
「おはようございます。
 ここにあった俺の服を知りませんか?」
「アルコール臭がしたので洗っています。
 すみません勝手なことして」

そんなことしなくてもいいのに、
と俺は思いながらも礼を言う。
満さんはベッドに座り、
俺の代わりにバスローブの前を直してくれた。

「朝ごはんを食べましょう。
 パンとコーヒーを用意しましたから」
「はい」

満さんのあとを行くと、ダイニングに着いた。
テーブルに、パンとコーヒーが用意されてある。
コーヒーから漂うこの香りからして、
インスタントではなく、きちんと豆を落としたものだ。

どうぞ、とイスに促されて座る。
向かいに満さんが座り、朝ごはんを食べる。
パンが濃厚でとても美味しい。
たぶん、ホテルブレッドか何かなんだろうな。
スーパーでは売られていない味だ。

「舞斗君、これからどうされますか?」
「午後から講義なので、教材取りに一旦帰ります」
「よければ車で送りますよ」

もしかして俺の家を知りたいのだろうか。
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないけど、
家を知られるのはさすがに俺が困る。
満さんに限って、突然くるような真似はしないだろう。
それでも、弟も住んでいるし少し怖い。

恋人という関係だったら、
たぶんあっさり案内してしまうだろう。
でも、満さんと俺は、そんな甘々しい関係ではない。

「これから仕事ありますよね?」
「ええ、一応」
「こっちは大丈夫ですから」
「そうですか。それではこれ渡しておきます」

テーブルに札が置かれる。
マージンが抜かれていない額に、
前のようにタクシー代がプラスされてある。

でも、俺は誘われけど俺が誘ったりもした。
これではラブオールじゃないだろうか。

「いりません」
「どうしてですか?これでは足りませんか?」
「満さんを誘ったのは俺ですから」
「誘ってもらえるように私がしていた、としたら?」

にこりと満さんが笑う。
俺は、笑い返すことなくただ首を振った。
「それでも、いりません」

だから、また誘って下さい。

口に出さないで目で訴えると、
テーブルに置いていた手が、満さんに包まれた。

「これでまた飲みに行きませんか?」
「はい」
「またそのうち誘ってもいいですか?」
「はい」

満さんだったらまた誘ってくれる。
なぜかそう確信してしまい、嬉しくて照れてしまった。
それを隠すのに俯くと、手をぎゅっと握られた。

満さんのマンションを後にして、一旦帰宅し、
そのまま大学へむかった。
講義中、ノートを書き留めながらも、
満さんのことばかりを考えていた。

あの声、あの指、満さんの全てが、
望むものを与えてくれる。
全てがそれに狂わされていく。

バイトも、満さんと寝たことも、
大人の割り切れる関係と俺は思っていた。
だけど、今は違う。
体も心も、満さんにしか触ってほしくない。

俺、満さんのことが好きだ。

そう自覚した瞬間、バイトを辞めようと決めた。

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ありがとうございますm(_ _)m
急いで読むほどの作品ではないので(苦笑)
ゆっくりお読みになって下さい♪


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