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  [ 星が刻んだ未来さえ 32 ]
2010-12-29(Wed) 06:20:07
バイトを辞めるには、辞める2週間前には伝えて、
イヤだけどその間も続けなくてはいけない。
辞めると言って、こなくなる人ももちろんいる。
だけど、鬼塚さんやバイトの関係者と、
いつどこで道で会うかなんて俺も判らない。
辞めるならせめてルールには従いたい、と思う。
そこで、バイトの茶室でよく会話をする同僚に、
人のつきにくい曜日と時間を訊ねることにした。

こういうバイトを長く続けているという、長瀬凜。
スポーツマンタイプで、短髪がよく似合い、
受け攻めどちらも請け負う、人気ナンバーワンの人物だ。
ここでは太郎と名乗っている。

「何?ここ辞めるの?」
「はい。鬼塚さんにもさっき報告しました。
 大学の友達に、ばれそうになってるって」

ウソも方便ということだ。
鬼塚さんはそれであっさり了承してくれた。

「ああ、そういうのってよくあるよ。
 俺もそうだから店あちこち変えてるしね」
笑いながら凛さんは、タバコを揉み消した。

俺よりも上だろう、という発言は多々あれど、
凛さんの年齢は知らない。
ナンバーワンだけあり、そんなに茶室にいない。
凛さんとはテレビを見ながらたまに喋るくらいだった。

そんなことを考えながら話していると、
仕事を知らせる電話が鳴って、凛さんは支度を始めた。
茶室出発前、嬉しいことを言ってくれた。

「まだマイト君と話したかったのに。残念。
 折角だからメアドの交換しようよ」
もちろん、メアドを速攻で交換をした。

今日は運良く、客が誰もつかずほっと息を漏らす。
テレビを見たりマンガを読んだり、今の時間を適当に潰す。

菅生さんからの指名があったら最悪だ。
他客であっても菅生さんでも、できれば誰とも寝たくない。

そんな時だった。
茶室の電話が、いつもの音で鳴った。
「マイト君、180分入ったから」
「誰なのか教えて下さい」

満さんでありますようにと願いながら、
鬼塚さんの息遣いに、目を閉じて耳を澄ます。
でも、世の中、そんなに甘くないと判っている。

「菅生さん」

やっぱりか、とがっかりした。
こういう悪い予感は当たるものだ。

「すみませんけど、菅生さんの指名、
 これでラストにしてもらえませんか」
「了解。今日はもう指名されたし、悪いけど頼むよ」
「判りました」

俺はバッグを持ち、ここを出発した。

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菅生襲来‥。

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