BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 星が刻んだ未来さえ 43 ]
2011-01-20(Thu) 06:30:46
俺はあれからずっと寝ていたらしい。
目が覚めると隣は空だった。
体を起こすと腰が痛い。
いや、腰だけではなく全身が痛くなっている。
体のべたつきも感じたけど、
とてもシャワーを浴びる気にはなれなかった。

服を着て、部屋を出ると隣室も空だった。
ただ、ぽつんとデスクに鍵と袋が置かれていた。

袋にはパンと缶コーヒーが入っている。
鍵の下に、ポストイットでメモが残されており、
ポストによろしく、とだけ書かれてあった。
鬼塚さんは帰宅したか、どこかへ出掛けたみたいだ。

パンとコーヒーを口にする気にもなれなくて、
俺は部屋を出て、鍵を閉めるとポストに鍵を入れた。
そして、ぼーっとする頭を抱えたまま家に帰った。

平日の昼間だ、郁央はとっくに学校へいっている。
シャワーを浴びて着替えを済ませてから、水を飲む。
その水をすぐに吐いた。
試しに体温計を使うと、少しだけ熱があった。
最近、熱という熱なんか出たことない。

ああ、これは天罰なんだ。

そう思いながら、ベッドに潜り込んで俺は眠った。
すると、ドアの開錠音がして、ふと目が覚めた。
眠ってから5時間が経っていた。

「兄貴?いる?」
言いながら部屋に入ってくる、郁央。
俺を見て、吊り上がった目を大きくした。

「え?兄貴?どうしたの?」
「熱があったから寝てた。
 まだだるいから、夕飯は悪いけど適当に食べて」
「兄貴は?夕飯は?」
「いい。何か知らないけど水も飲めない」

そう言うと、郁央がさっと蒼白になった。
「兄貴早めに病院行こう?」

キスマークだらけの体なんか見せられないし、
ましてやまだ中に少し残ってもいる。
薬だって完全に抜けたかどうか。
血液検査なんかされて異常数値だったら、
どうやって言い訳すればいいんだ。

こんな体で病院に行けるわけない、とは言えず、
俺はやんわり断った。

「大丈夫。ただの風邪だから」
「でも、だって‥」
「それに郁央だって風邪ひいたら、
 食えなくなったり飲めなくなったりするだろ?
 それと同じだよ」

にかっと笑うと、郁央は少しだけ笑顔を零した。
「ん、そっか。何かしてほしいことあれば言ってね?」
「ああ、そうさせてもらうよ」

郁央が静かに部屋を出る。
俺は目を閉じ、もうひと眠りした。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
BL小説星が刻んだ未来さえ | TB:× | CM : 0
星が刻んだ未来さえ 42(R18)HOME星が刻んだ未来さえ 44

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi