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  [ 星が刻んだ未来さえ 46 ]
2011-01-24(Mon) 06:35:41
バイトの最終日がやってきた。
満さんがちゃんと約束を果たしにきてくれた。
いつものラブホで、満さんが俺を迎える。
「こんばんは、舞斗君」
「こんばんは。ありがとうございます、満さん」
「いいえ、こちらこそ」

靴を脱いですぐに唇が塞がれる。
顔の角度を変え、舌を入れ、唇を吸い、
たっぷり数分間はキスをした。
ようやく離れてから、満さんは言った。

「バイトが終わってから家にきませんか?」
飲むためか、食べるためか、セックスするためか、
それとも添い寝するためか。
いずれにせよ傍にいられるなら何でもいい。

「いいですよ」
何をするかなんて訊ねはしない。
満さんのしたいことを俺もしたいからだ。

満さんのスーツをハンガーに吊るす。
服を脱ぎ、シャワーを浴びるのかと思いきや、
そうではなかった。

満さんがベッドに座り、俺を招く。
傍へ寄ると腕を引かれ、満さんにベッドへ転がされた。
驚く俺の隣に、満さんが笑って転がる。
俺のことをどうやら驚かせたかったらしい。

「あはは、びっくりしました?」
「そりゃあしますよ」
「もしかして少し怒りましたか?」
「いいえ、別に」

俺は言いながらも少し怒っていた。
満さんがこんなことすると思わなかったし、
マジでびっくりしたからだ。

じっと見つめてくる満さん。
俺は判っているからこそ目を合わせない。

すると、横から抱きつかれた。
その腕に手を添える。
これでほだされる自分自身にイヤになりながらも、
少し笑う。

「怒ってませんよ満さん」
「よかった。嫌われたかと思いました」
「そんな大袈裟ですよ。
 俺じゃなくてもいくらでも代わりはいるでしょう」

そうだよ、満さんにとっては俺じゃなくていいんだ。
だって、俺と満さんだと釣り合わない。
この人には、俺よりもっと相応しい人がいるはずだ。

そういう思いが言葉へと出たのだろう。
抱き締める力が強まった。
代わりの人なんて、どこにもいません。
そう伝わる温もりに、俺は静かに目を閉じる。

それから、横になったまま俺のことを訊ねられた。
満さんにだったら呆れられてもいい、
ウソをついたり何かを隠すよりはマシだ。

家族のこと、大学のこと、バイトのこと、
そして郁央の事件のこと、聞かれたことに対し、
全てマジメに答えた。
満さんは呆れず、俺の声にじっと耳を傾けてくれた。
俺にはそれが嬉しかった。

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