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  [ 星が刻んだ未来さえ 45 ]
2011-01-23(Sun) 05:40:40
彰彦が帰宅し、郁央はまだ帰宅していない。
俺は携帯を開き、鬼塚さんに連絡した。
体調の不良と、大学の講義で、
しばらくバイトを休ませてほしい、と。
ラストと、前日のみ出勤する、
ということで鬼塚さんが了解してくれた。
まあ、少なからず自分にも責任があると思ったんだろう。
確かにその通りでもある。

それから平穏な日々だった。
大学と家の往復。
たまにスーパーに買い出しにもいく。

だったそれだけなのに、とても新鮮な毎日であり、
平穏が、当たり前のようで当たり前ではない、
というのを学んだ気がした。

そして、ラストの前日になって出勤する。
鬼塚さんは言及せずに、俺をいつものように迎えた。
俺もいつものように話した。

茶室に、テレビを見ている凛さんがいる。
明日で終わりだと伝えると、寂しそうに笑われた。

「マイトみたいな人タイプなんだよね」
「俺みたいなタイプって何ですか?」
「業界に染まらずに自分を持ってるタイプ、かな」
「いくらなんでも、それは過剰評価ですよ」

そんなことを言われたのは初めてだった。
照れながら言うと、凛さんは笑った。

「ん、でも本当だよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「ほら、そういうマジメなとこもいいんだよね。
 今度、俺とちょっと寝てみない?」
「せ‥せっかくですけど遠慮させてもらいます」

凛さんの目が、にやりと細まった。
そして、肘で俺を突く。

「もしかして好きな人ができたとか?」
「まさか、そんなんじゃありませんよ」

鋭さにどきっと驚きながらも、肘で突き返す。
この日は指名も無くて、凛さんと過ごした。

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