BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 星が刻んだ未来さえ 48 ]
2011-01-26(Wed) 08:00:34
「やあ、久し振り」
菅生さんは挙手し、爽やかに声をかけてきた。
「お久し振りです」
あまりいい予感がせず緊張しているのか、
声色がちょっと上擦ってしまった。
すると、菅生さんはゆっくり近寄ってきた。

「マイト君ずっと休んでたね」
「はい。体調が悪かったり大学が忙しかったりで」
「そうなんだ。避けられているのかと思ったよ」

ゆらり、と揺れる影。
菅生さんは、恐らく静かに怒っている。
鬼塚さんから何聞かされたんだ。

「すみません、急いでるので俺はこれで‥」
「ちょっと待ってよ」

通り過ぎようとしたら腕を掴まれた。
ぎりっと腕に指が食い込んでくる。

「い、た‥!」
「ねえ、本当は、僕のことを避けていたよね?」
「違います、避けてません」
「だってずっと店に入らなかったじゃない?」
「だから、体調が悪いのと大学が忙しいって‥」
「避けていたってはっきり言いなよ」

菅生さんは、こっちの話を聞く気がなかった。
セックスの時と同じで己の考えしかない。

幸いなことにマンションのホールには誰もいない。
店も俺がラストだったから誰も通ることもない。
住人だってこんな深夜に、
よっぽどの用事でもなければ出入しないだろう。

マンション前で満さんと待ち合わせなくてよかった。
こんな時なのに俺はほっとした。

「菅生さん、そう思われたなら謝ります。
 どうもすみませんでした」
謝って済むならいくらでも頭なんて下げてやる。
そう思って、それなりに大人の対応をしたつもりだ。

しかし、菅生さんには通用しなかった。
ふるりと首を横に振られた。
「ほらね、避けていたこと認めたじゃないか」

俺はどうすればいいか判らなくなって、唇を噛む。
すると、菅生さんが自分のカバンから、
何か長いものを取り出した。
それを目にして、俺はびくりと固まった。

次話へ 前話へ

お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
BL小説星が刻んだ未来さえ | TB:× | CM : 0
星が刻んだ未来さえ 47HOME星が刻んだ未来さえ 49

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi