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  [ 星が刻んだ未来さえ 52 ]
2011-02-03(Thu) 07:15:31
「‥よかった‥舞斗君が無事で」
満さんは震えていた。
すみません、という思いを込めて、
その体を強く抱き締める。
すると、恐ろしいことを呟かれた。
「舞斗君に何かあればあの社員を殺してました」

その声色は本気だった。
怖くなった俺はぞくりと震えながらも、
腕の中で、首を横に振る。

「そ‥それはさすがにダメですよ」
「判っていますから殺しませんでした。
 でも、どうしても我慢ならなくて、
 脅しだけは入れさせて頂きましたけど」

脅しだけって何だろう。
どうしてもスルーできなくて、思わず訊ねた。

「脅しだけって何ですか?」
「彼には近づかないと誓って下さい、
 約束を破ったりしたら貴様を許さない、と」

許さなかったら何をするんだろう。
満さんのお兄さんに話をして、免職か解雇か。
それとも、菅生さんのことを本気で、
満さんがその手にかけるか。
なんて、そんなこと考えたくない。

満さんの震えは怒りか、
それとも無事だったことへの安堵なのか。
少し離れ、満さんを見ると、
ちょっと泣きそうな顔をしていた。

それを見たこっちが泣きそうで、鼻を啜る。
満さんをこんな顔にしたことと、
巻き込んでしまったことに胸が痛む。

好きですと言いかけて、声を飲み、キスをする。
満さんが少しだけ笑ってくれて、ほっとした。

「ベッドに行きませんか、舞斗君」
頷いて立ち上がり、ベッドルームへむかった。
満さんが枕元に座って、俺が満さんの足に乗る。

またキスをして、ゆっくり舌を差し入れた。
ペペロンチーノを食べてスパイシーになった満さんを、
じっくりと味わう。

これを最後に満さんとは距離を置こう、
と俺なりに決めていた。
時間をかけて過去をリセットし、
それから満さんとまた会いたいと思ったからだ。

過去は変えられない。

未来は変えることができる。

それなら、俺の未来の力で、
満さんに相応しい人になりたい。
例え、恋人になれなくとも知人として。

だから、今夜限りで一区切りだ。

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