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  [ 星が刻んだ未来さえ 58 ]
2011-02-13(Sun) 05:35:57
家に着いてベッドに倒れ込んだ。
郁央はもう学校なのか、家には誰もいない。
俺は静けさに耳を澄ませ、ゆっくり目を閉じた。
どれくらいたったのだろう。
郁央の足音と、ドアの開いた音で、ふと目が覚めた。

「兄貴、ただいま」
「おかえり」
「どうしたの?また具合悪いの?」
「またって何だよ」
「ほら、少し前も、食欲ないって寝込んだから」

ああ、そんなこともあったな。
それに便乗するか、と口を開く。

「ん、たぶん風邪再発かも」
「だからあの時に病院に行けばよかったのに」
「こんなの寝てれば治るって」

ベッド脇に郁央は屈んで、俺の額へと手を当てる。
俺はそれを払いながら、こう言った。

「これからバイトがあるんだろ?
 俺のことなんか構わなくていいから、
 遅刻しないようにいって頑張ってこいよ」
言われた弟は、せっかく心配してんのに、
とでも思ったらしくて拗ねている。

部屋をあとにしようとする後姿に、俺は更に言う。
「あ、ごはんだけど‥」
「俺は食べないからコンビニで何か買え、だろ?」

言ってからドアが閉められた。
どうやら、うるさく言い過ぎたらしい。

弟はやればできるんだから任せればいいのに、
と思ってもつい言ってしまう。
癖になりつつもあるから直してしかないと、
ブラコンから、ただのうざい兄貴になりそうだ。
って、もうなってるかもしれないな。

そんなことを考えながらまた眠った。

起きると朝になっていた。

とりあえずトイレにいって、用を足す。
台所に立っても食欲が湧かない。
それでも弟の朝食を作っておくか、
と手を出しかけてそれを引っ込めた。

いや、やめておこう。
俺が体調不良の時は、何もかも任せればいい。
何だってやればできるんだ弟は。

ごはんを食べず、大学へ行って講義を受けた。
彰彦と晋平に、昼ごはんを誘われたけど、
どうにも食欲がなくて、誘いをやんわり断った。

大学を出ると正門に男がいた。

その男と目が合って、俺の全身が震えた。

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星が刻んだ未来さえ 57HOME作者の独り言 13

COMMENT

このコメントは管理人のみ閲覧できます
b y | 2011.02.13(11:14) | | [EDIT] |
  +
コメント下さったM様

こんにちは!コメントありがとうございます!
きちんと届いておりますよ。大丈夫です。
迷惑だなんてとんでもありません。
私で答えられることがあれば何でも答えますので、
何がありましたら聞いてきて下さい♪

星刻の続き、気になりますよね。
それなのに独り言を呟いてしまって、
本当にすみませんの気持ちでいっぱいですm(_ _;)m
門の前にいたのは、満か、菅生か、鬼塚か、
それともそこら辺のおっちゃんか(笑)
予想しながらお待ち頂けると嬉しいです。

満は優しくて、とってもアダルティですよね。
きっと若い頃にやんちゃだった分、
今こんなにも落ち着いているのだと思います。
満の暴走族時代の話も書いてみたい気もしますが、
全くBLにならない予感しかしないのでやめておきます(笑)
ヤンチャな時代の満は、皆様に勝手に想像して頂き、
楽しんでもらえたら幸いです♪
b y 水色 | 2011.02.14(05:39) | URL | [EDIT] |
このコメントは管理人のみ閲覧できます
b y | 2011.02.14(15:45) | | [EDIT] |
  +
コメント下さったH様

初めまして!コメントありがとうございます!
更新を楽しみにして頂き感謝です(≧∇≦)
これからも頑張って活動していきますので、
お付き合いのほど宜しくお願いします♪

満、格好いいですよね。
こういう大人がいたらいいな、という思いで書いているので、
満は私のタイプそのものでもあります(*´∀`*)
人の痛みが判り、そして強くて優しい、という人物ほど、
頼りがいのある人はいないと思っています。
ですが元暴走族なので、きっと切れたら怖いです。
だけどそのギャップもまた‥なんて、
満を語ったらキリがないくらいです(笑)

星が刻んだ未来さえ、もう少しだけ続きますので、
舞斗の行く末を、どうか見守ってやって下さい♪
b y 水色 | 2011.02.16(04:43) | URL | [EDIT] |

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