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  [ 星が刻んだ未来さえ 62 ]
2011-02-20(Sun) 05:15:31
「‥それって何のことですか?」
「家を出る前、私にそう言いましたよね」
なんてことだ。

あの時、満さんは起きていた。

満さんを見ると、満さんもこちらを見ている。
少しだけ目と目が合ったけど、また前を向かれた。

満さんは笑わず、ずっと無表情だった。
マジメに運転している表情かもしれない。
だけど、それだけではなく、冷たい気がした。

満さんにはウソを言いたくないし、
それが通じるとも思えない。
俺は諦め、満さんを好きなことは隠したまま、
バイトを辞めたきっかけと共に、全てを話した。

単語を選びながら言葉を紡ぐ。
黙ったまま満さんはそれを聞いている。

話が終わってからも走り続け、やがて、海に出た。
夏の海と違い波が荒く、それは力強い印象があった。

ぼんやり眺めていると、車がゆっくり止まった。
ここは夏季用の海水浴客の駐車場らしい。
時期が時期で、もちろん車はこれしか停まっていない。

満さんがエンジンを切る。
そして、シートベルトを外しながらこう言われた。
「ちょっと後部座席行きませんか?」

行かざるを得ないだろう。
俺は頷き、車を出てから後に回った。

1つのシートに、満さんと座る。
満さんとの間には、何とも微妙な距離が開いた。
だからってお互い近づくことはないし、
満さんからそうする気配も感じられない。

エンジン音のしない車内はしんと静まっている。
どきどきする胸の音が聞かれそうで汗が滲み出るも、
拭うことができなくて固まったままでいた。

膝に乗せていた拳を握っていると、
上に大きな手が重なった。
はっと顔を上げると、満さんが迫ってきた。

「好きなら傍にいて下さい、舞斗君」
ぎゅうと強く抱き締められる。
俺も同じように抱き締めたかったけど、
許されないと思い、上げた両腕を下げた。

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COMMENT

このコメントは管理人のみ閲覧できます
b y | 2011.02.20(10:51) | | [EDIT] |
このコメントは管理人のみ閲覧できます
b y | 2011.02.20(16:46) | | [EDIT] |
  +
拍手を下さったM様

こんにちは!コメントありがとうございます!
いえいえ、こちらこそ各話毎にコメント頂戴しているので、
M様にお時間取らせてしまい申し訳なく思います。
コメントはお時間のある時だけで結構ですので、
M様の方こそ無理しないようお願い致しますm(_ _;)m

舞斗と満の好きなシーンについてのコメント、
ありがとうございます♪
お話は佳境に入って来ましたので、
私からはあまり語らないようにしたいと思います。
どうか2人の行く末を温かく見守ってやって下さい(=^_^=)

コメント下さったK様

こんにちは!コメントありがとうございます!
更新する度にドキドキして頂いて嬉しいです(≧∇≦)
舞斗は頑固で、満は強引で、
両思いの筈なのに微妙に擦れ違っていて、切ないですよね。
早くくっつけばいいのにと思ってしまいます(´▽`;)
お話は佳境に入って来ましたので、
K様を始め皆様にもっとドキドキして頂けるよう、
舞斗と満に頑張ってもらおうと思います♪

なんてことだ、と皆様そう思われましたよね(笑)
もう少しだけ2人にドキドキ、
時々ハラハラして頂けると嬉しいですm(^▽^)m
舞斗と満と共に私も頑張ります!

コメント下さったH様

こんにちは!コメントありがとうございます!
更新を楽しみにして頂いて感謝です(o^∇^o)
コメントからの応援も本当に嬉しいです。
皆様にこれからもハラハラして頂けるよう頑張ります!

満に毎回胸がキュンキュンとは!
そして今回特にキュンキュンされたとか!
満は私の中でも、大人の男性の理想図となっているので、
ついつい格好よく描写してしまいます(*´∀`)
身のこなしがスマートで普段は格好いいくせに、
今は舞斗を手に入れたくて少し必死です。
そういう部分は可愛いな、と勝手に妄想して楽しんでいます(笑)

舞斗行け!そこだ!抱き締めてしまえ!ですよね(`▽´)
頑固VS強引、どちらが勝つか負けるか、
もう少しだけお付き合い頂けると嬉しいです♪
b y 水色 | 2011.02.21(06:38) | URL | [EDIT] |

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