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  [ 青い空を見上げて3rd 17 ]
2011-04-22(Fri) 05:15:29
笹崎侑津弥


「やあ、スウ君。スタジオへようこそ。
 今日1日、よろしくお願いします」
「‥こっちこそお願いします」
いつもの青柳さんの笑顔に、俺はほっとして笑う。
すると、桂馬さんが青柳さんへ、ずいっと迫った。
「四葉さん、俺のことスウ伝えてないでしょ。
 誰だろうって顔されたし、ちょっと不安そうでしたよ」

やっぱり俺そんな顔してたんだ、と苦笑い。
頭で思ったことがすぐ顔に出るのは、やっぱりよくない。
俺は頬を撫で、一息つきながら反省した。

「あれ?言ったつもりだけど言ってなかったっけ?」
「ほら出たよ。四葉さんの必殺技。
 撮影以外、いつもこれなんだもんな。
 水着での撮影でも、モデルの女の子に僕のこと‥」

根に持っているらしきことを持ち出して、
桂馬さんはぶつぶつと文句をぶつけている。
一流フォトグラファーの青柳さんだけど、
それ以外では、色んなところが抜けているらしい。
これがプロなのか、プロだからこうなのか。
それとも元々の性格なのか。

桂馬さんに叱られて青柳さんは謝っている。
ようやく気が済んだのか溜め息をついてから、
照明とかの準備にかかった桂馬さん。

「スウ君にみっともないとこ見せたね。ごめんね」
頭をぽりぽりと掻きながら、苦笑いする青柳さん。
何となくだけど叱られ慣れしているっぽい。

その青柳さん、今日の撮影の内容や方法を、
てきぱきと説明してくれた。
白いシャツと茶のハーフパンツを着て、
メーカーが宣伝したいスニーカーを装備し、
セットのソファに座りながら喋るだけでいい、とのこと。

「‥たったそれだけでいいんですか?」
「あとは、いいショットを僕が狙うだけだから、
 スウ君はいつものように過ごしていればいいよ。
 さあ、スウ君着替えてきて」

色んなポーズをとるのかと思っていただけに、
ちょっと拍子抜けした。
だけど、なんとなく青柳さんらしい撮影だ。

ドア近くに、パーテーションで区切られたスペースがあり、
そこが着替える場所みたいだ。
中にはシャツとハーフパンツとスニーカーが置いてあるから、
好きなサイズのものを着てきてね、と言われた。

頷いてからパーテーションのスペースに入っていく。
ここには、テーブルにイスにソファ、カラーボックス、
ハンガーラック、テレビ、メイクの台がある。
あとは、隅のほうに段ボールが積んであるだけ。

シャツやスニーカーが、4サイズ分用意されてあって、
服はMサイズを着て、スニーカーは26センチを履いた。
どれも着心地がよくて、ついこのまま帰りたくなる。
もしかしたら全部がブランドものかな、なんて想像をした。
そしたら総額いくらに、と考えて辞める。

着替えが完了し、静かにパーテーションを出ると、
青柳さんがソファを指差し、俺はそこへ座った。

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