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  [ 青い空を見上げて3rd 18 ]
2011-04-24(Sun) 06:45:36
笹崎侑津弥


撮影は、リラックスムードだった。
青柳さんや桂馬さんと、楽しく喋るだけで、
シャッターが切られていく。
それに合わせてライトが光ることもなく、
撮られているって感じすらしない。
時々、青柳さんが桂馬さんに指示をして、
ライトの角度を修正したり、髪をちょこっと直してくれた。

「ちょっと足組んでみようか」
「ペットボトルの水飲んでみてくれる?」
「今のその笑った顔、すごくいいね」

言われた通りのことをする。
ポーズ、というほど堅苦しいものじゃない。
本当にごく自然に、という感じだ。

カメラを構える青柳さんに褒められて、
恥ずかしくなって照れると、それも撮られた。
前にもこんなことあった気がする。

そして、2時間くらいで終了した。
「お疲れ様、スウ君」
「‥もういいんですか?」
「うん。これでも結構撮ったんだよ。
 それとももっと撮られたかったのかな?」

青柳さんと桂馬さんが、あははと笑った。
俺は首を振り、小さく笑った。

喋りながらもたくさん撮っていたらしい。
さすがプロ、口を動かしながら手も動かしていた。

撮影した写真を、少しだけ見せてもらう。
一眼デジカメに液晶モニターがついていて、
今撮ったばかりのものを再生してくれた。

そこには、間違いなく自分がいた。

だけど、自分じゃない自分みたいだった。

プロの手にかかるとこんなふうに撮られるんだ、
と感心してしまうような写真だった。
表情も豊かで容姿も決まり、俺なんだけど俺っぽくない。
これはナルシストじゃなくても、
すごいなと絶賛してしまうような出来栄えだった。

着替えが終わると青柳さんに呼ばれた。
傍へと行くと、厚みのある封筒を渡される。
そこには、見たこともない現金が入っていた。

「これは、あくまで基本料だからね。
 スニーカーの広告が上手くいけば、ボーナスあるから」
と肩を叩く、青柳さん。

ちなみに、撮影したのがどうなるかは不明みたいだ。
ポスターになって貼り出されるか、
雑誌の片隅に掲載か、これから決まるらしい。
まあ、別にどうなっても構わないけど。

封筒をバッグに仕舞い、青柳さんと桂馬さんに会釈して、
俺はスタジオを後にする。
青柳さんは手を振り、桂馬さんは手を上げ、
満足そうに見送ってくれた。

今日の出来事、ジョーに話したら驚くかな。

それとも喜ぶかな。

ジョーの反応に期待しながら、軽い足取りで帰途に着いた。

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