BLUE BIND

BL小説ブログ。危険を感じた方はお逃げ下さい。
  [ 青い空を見上げて3rd 22 ]
2011-04-30(Sat) 05:25:24
笹崎侑津弥


「‥呼ばれる前にいってくる」
教室に行こうとしたジョーの横顔に言った。
ジョーは振り向いて、ちょっと驚いてから笑い、
手を上げてさっさと先へ歩いていった。
後姿を見ながら両拳を握り、俺は教頭室へ行く。

ドアをノックし、どうぞと言われてから入った。
「‥おはようございます」
「おはよう。呼ばれる前にきましたか」

松田教頭は、窓の前に立ち、困ったように笑っている。
俺は頷きながら傍へ寄った。

「バイトとは言えモデルは続ける、でいいですか?」
言いたかったことを言われてしまった。
俺がきっとそういう顔をしていたんだろう。

こくり、と決意を込めて力強く頷くと、
溜め息をつかれながら肩を竦められてしまった。
ここまできたらもう隠すこともないだろう。
教頭先生に、大学に行きたいこと、学費を稼ぎたいこと、
両親に頼りたくないこと、説明したら感心された。

「君はそこまで考えているんですね」
「‥はい」
「ここはバイト禁止ではありませんから、
 こちらは何も言いません。
 ただ、モデルは特殊な職種ですから、
 外を歩く際は、それなりに気をつけて下さいね」

それなりに気をつけて下さいね、ってのは、
俺とばれないように気をつけなさい、ということなのか。
当分、伊達メガネしたり帽子被ればいいのかな。

でも、そんなのするほど有名じゃないんだけど。
だって、モデルってもただのバイトだもんな。
それで伊達メガネでも購入したら、
勘違いしすぎだろってジョーに爆笑されそうだ。

「しかしまあ、ポスター拝見しましたが、
 なかなか格好よかったですよ」
有名になってきたら最初にサインもらいますね、
と教頭は微笑む。

サインって何書けばいいんだろう。
フルネームか、モデルで使っている名か、
ってかサインの練習するべきなのかと苦笑いしながら、
俺は教頭室を出た。

怒られるかと思ったけど怒られなかったな。
むしろ、応援されている気分だった。
ジョーには今のやりとりそのまま伝えればいいか。

あ、それよりも。

これで教室戻ったら、きっとまた井出とかマキとかが、
ポスターについて迫ってくるに違いないぞ。
モデルのバイトに誘われたから試しにやってみた、
っていう説明で納得するかな。

ウソはつきたくない。
だからって重くなるような話はしたくない。

窓外に見える青空を眺めて、はあっと溜め息をついた。

次話へ 前話へ

エロなしパートにも拍手やらランキングぽちやら‥(ノД`)
いつもありがとうございます。頑張ります(´▽`*)


お気に召しましたら一票お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
BL小説青い空を見上げて3rd | TB:× | CM : 0
青い空を見上げて3rd 21HOME青い空を見上げて3rd 23

COMMENT

COMMENT POST

:
:
:
:



 
 管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2024 BLUE BIND. All Rights Reserved.
  
Item + Template by odaikomachi