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  [ 青い空を見上げて3rd 27 ]
2011-05-13(Fri) 05:30:06
阿久津城


ウツミの撮影当日になった。
宣言したからにはもちろん同行する。
電車を乗り継ぎ20分、
ビルのテナントにスタジオクローバーがあった。
ドア隣にあるインターホンをウツミが押すと、
はい、と高めの声がした。
「‥桂馬さん、笹崎です」
「あいよ。開けるから入ってきて」

かちゃん、と鍵が開いた音が聞こえて、
ウツミがドアを開けて入っていった。
ドアはオートロックで、同じ音がして鍵が締まった。

明るい廊下を歩いて、奥へ行く。
重そうなドアを開けると、そこは撮影場所だった。
そこで2人が撮影の準備をしている。
1人はカメラを調整し、1人はライトの調整をしていた。

「‥青柳さん、桂馬さん、こんにちは」
「よう、スウ」
「こんにちは、いらっしゃい」

赤い髪の男が、にこやかに手を上げてきて。
隣の男は、おっとりとした物腰で微笑んでいる。
きっと、こっちが青柳四葉だろうな。
何となくそんな感じがした。

「初めまして。阿久津城と言います。
 今日は宜しくお願いします」
ここは学生らしく、2人にぺこりと会釈する。
赤い髪の男は、驚いた顔をした。
隣の男は、更ににこやかに笑った。

「こんにちは。青柳四葉です。
 汚いスタジオだけど楽しんでいってね」
「アシスタントの、加野桂馬です。
 あれ?本当にスウの友達?すごく礼儀正しい」
「‥ちょ‥どういう意味ですか桂馬さん」
ウツミの焦りにみんなで笑った。

「撮影の準備も伊吹も、まだちょっと時間かかるから、
 ゆっくりお茶でも飲んで待っててね」
青柳さんの視線が、隅にあるテーブルを見る。
そこには、ペットボトルのお茶とか紙コップとか、
ドリップコーヒーが置かれてあった。

「‥はい」
「ありがとうございます」
ウツミと共に礼を言うと、青柳さんと桂馬さんは、
すっと撮影の準備を再開させた。

照明の強さや色を確認し、設ける位置を決める。
それからカメラの位置を入念にチェックしてから、
カメラの設定らしきものを操作していた。

ウツミとお茶をちびちび飲みながら、それを眺める。
「前もこういう感じだったのか?」
「‥うん。青柳さんと桂馬さんで、あんな風に動いてた」
「そうか」

息がぴったりとはまさにこれを言うんだろう。
2人は、もしかしたら付き合ってんじゃないのか、
ってくらい、フィーリングも合ってて動きもスムーズだった。

その時インターホンが鳴った。
近くの受話器を取ると、解錠らしきキーを操作しながら、
開けたから入って、と桂馬さんが指示をする。

少しして現れたのは、まさに本物の伊吹だった。
ラフでごく普通の格好をしてるのに、
モデルとしての独特なオーラを放出しまくっている。
重いオーラでなぜかこっちのプレッシャーが増すかのようだ。

「どうも」
伊吹が、ふっと笑いながらサングラスとキャップを取ると、
デジタルパーマの髪をふんわりと靡かせた。

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