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  [ 青い空を見上げて3rd 30 ]
2011-05-18(Wed) 05:50:36
笹崎侑津弥


ピンをしたまま撮影が再開されてしまった。
こういうの俺似合わないのに、とふてくされていたら、
青柳さんと桂馬さんに絶賛される始末。
「拗ねた顔とピン留め、すごく似合ってるね」
「スウ、めちゃ可愛いじゃん」

照れるとジョーが喜ぶだろうし、
拗ねればなぜか青柳さんや桂馬さんに褒められるという、
俺にとってはどう転んでもやるせない感じだ。
溜め息が、いつもより深いものになる。

「それじゃあ、何でもいいから話してもらえる?」
青柳さんが撮影しながら、そう切り出した。
そうだった、撮影だけじゃなくて対談もするんだった。

何でもいいから話してもらえる、
と言われてもどんなことを話したらいいのやら。
どうしようか困っていると、伊吹さんが微笑んで、
俺の肩をぽんと軽く叩いた。

「了解。スウ、モデルになったきっかけは?」
伊吹さんのリードに安堵し、ゆっくり返事をした。

「‥バイトでいいからモデルやってみないって、
 青柳さんから勧誘されたから」
「なら、スウにとって、バイトの一環ってわけだ」
「‥ん、そう」
「家族とか恋人とか、モデルには反対しなかった?」

俺はちらりとジョーを見る。
ジョーは、至って冷静な顔だった。

「‥別に」
「あ、否定しないってことは恋人いるんだ?」

伊吹さんが接近する。
くっつきそうな至近距離にどきっとして、
俺は思わず体を引いた。

再びジョーを見ると、むっとしていた。
やばい、俺はきっとボロを出すだろうから、
伊吹さんサイドのことに話題をかえよう。
と、聞かれたことをそのまま返すことにした。

「‥伊吹さんは?恋人いますか?」
「へ?俺?」

俺からそうくるとは思わなかったんだろう。
伊吹さんにとって意外だったのか、
驚いたように目をぱちぱちと瞬きをする。
直後、ふっと微笑んだ。
俺にそんなこと聞いてくるとは、いい根性じゃん、
とでも言いたそうな顔をしていた。

「いるよ。たくさん」
「‥たくさんって、それ恋人ですか?」
「俺のことを好きだって言ってくれる、
 世界中のファンこそが恋人なのさ」
前髪をふわりと揺らしながらの回答。

ずるい答えだなと思っていると、
青柳さんと桂馬さんが、ぷっと軽く吹いた。
ジョーも、くくくっと笑いを堪えている。
伊吹さんって面白いかも、と俺もつい笑った。

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