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  [ 青い空を見上げて3rd 35 ]
2011-05-29(Sun) 06:25:24
阿久津城


クレウスから電話があった翌日。
日本で雑誌が発売し、何とバカ売れした。
早速、伊吹の対談の相手、すなわちウツミに、
メディアは注目するようになった。
ワイドショーはもちろん、ラジオやネットでも、
どこでもそれで持ちきりになった。

ウツミは、ようやく反響のでかさに気付いたらしい。
気休めだけど伊達メガネをし、
俺のキャップを借りて被るようになった。

どこから噂を聞きつけたのか、
ウツミを一目見ようと、記者達や野次馬が、
わらわらと集合し学校の正門を見張っていた。
だけど、なぜかウツミはスルーされた。
メガネとキャップだけでも、かなり見た目は違うらしい。

これにはさすがに、こっちがスルーできなくて、
上履き履きながらウツミと一緒に吹いたっけ。
それを井出やマキに報告したら、みんなも笑っていた。

松田教頭と担任結城は、
どうやら世間が静まるのを待つ方向みたいだ。
確かに下手に動くより、動かないほうが賢いだろう。

クラスメイトは、雑誌のウツミと現実のウツミを見比べ、
ウツミではなく青柳さんのことを賞賛していた。
モデルもいいけど、そのよさを引き出すのは、
やはりフォトグラファーのテクニックとセンスだろう。

青柳さんにはその才能がある。

だから、世界中からオファーがあるんだと納得できる。

雑誌はアメリカと日本と、
アジアとヨーロッパの各地でも販売されたらしい。
あの伊吹が対談した、というだけで、世界中の出版社が、
こっちもこっちもと手を伸ばしてきたみたいだ。

そして、放課後。

顔を隠したウツミと門を出ると、
正門から離れた場所で、タバコを吸ってる男がいた。
その人は俺達を見るなり、よっと手を上げる。
まさかの人物に俺達は笑顔になった。

「赤石さん、お久し振りです」
俺とウツミは赤石さんの傍へといった。

赤石さんは、夜間パトロールをしている警備員だ。
些細なきっかけで顔見知りになり、
それからメールでのやりとりはしていたけど、
直に会うのはすっげ久し振りだった。

「よう、久し振り」
洒落た携帯用の灰皿で、タバコを消しながら、
赤石さんは微笑んだ。

「こんなところで何してるんですか?」
「いや、まあ、伊吹との対談、
 あれマジで笹崎なのかなって確認しにきたんだ」

まさかの赤石さんまで、ウツミ狙いときた。
だけど、何だかほっとしたように見えるのは、
どうしてだろう。

「案外ミーハーですね赤石さん」
「あはは。それは言うなよ。
 ところで、このまま立ち話もなんだし、
 ファミレスにでも寄っていかないか?
 あ、笹崎にファミレスなんて失礼だったかな?」
「‥まさか。俺ファミレス好きですよ」

そうそう、メディアであんなに取り上げられているけど、
ウツミはウツミで何も変わりはしない。
俺達は軽く雑談し、並んでファミレスへ入った。

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久々にヒロ登場。

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